「でさ~その時セツ子が~」


「ナルみん!それ言うのズルい!」


いつもと同じ帰り道。


「ナルそんで続きは??」


「瀬那うるさい、ナル早く」


「レイもカナデも、そんなに弄ったらセナ泣いちゃうよ??」


いつもと同じメンバー。


「泣きはしないけどありがとうリョウキチ」


いつもと同じ楽しい話。


いつもと同じ………。


「瀬那??………」


その声でそれはいとも簡単に崩された。


「っ……」


目の前に立っているボク達と同じ年齢の男子。

だけどその制服はボク達霧南とは違う、甲陽の物。


「おま……え……瀬那………」


ボクは目の前に立つこいつを知っている。
だから、突然の再開に驚きを隠せない。

だけど、そんなボクに負けないくらい目を見開いて驚きを隠せない目の前のこいつ。


ボク達は時が止まったように、ただ目を見開いて立ち尽くすことしかできなかった。


「おい瀬那………」


突然立ち止まったボクを不審に思ったのか、4人も同じように立ち止まった。

そしてレイがゆっくりとボクの肩を揺らした。
それによって固まった体の力が少し抜けた。


「維澄、お待たせ………えっ??せっちゃん??」


だけど、それはほんの一瞬。
前方から現れた甲陽の制服を着たやつにボクはもう一度目を見開いた。
もう1人もボクがよく知っているやつ。

だって、2人は、夢に出てきた、ボクがサッカーをしていた時のライバル達。

まさか2人揃って出会うなんて思っていなかったボクは、再び体を固めた。


「久しぶり……だな……」


「………」


「元気だった……か??」


先に口を開いたのは最初に会った、色素の薄い髪と鋭い目つり目が特徴の榛名維澄(はるな いずみ)。

ボクはそんな維澄に対して、口を開くことができず、ただ驚いたままゆっくりと首を縦に振った。


「………」


そして、黙ってボクと維澄を見つめているのはさっき来たばかりの、黒い天パの髪と右目の下にある泣きボクロが特徴の間宮翔大(まみや しょうだい)。
間宮翔大は真剣な顔つきで流れを見ているように思える。


「覚えてるか??……小学生の時お前俺のこと“いっくん”って呼んでたんだぞ??……もう“維澄”呼びだけどな」


「………」


「翔大のことはショウ君呼びだったよな??」


維澄とショウ君は幼なじみ。
ボクは維澄とショウ君とは小学校や中学校、そして高校も違っていたけど、小学生の時に出会い友達になった。

レイ以外のlibertyのみんなはこの2人のことを知らない。
だけど、ボク達のただならぬ雰囲気で、どういう関係なのかは察したはず。