それは突然の来客者で……。
「ただいま」
「おかえり奏」
いつも通り玄関を開けてただいまと言った俺の声にキッチンの方から聞こえるおかえりの声。
それは、いつもどこか抜けているほのぼのとした41歳会社勤めの母、結唄(ゆう)。
俺は靴を脱ぎリビングへ向かった。
「おかえり奏」
「ただいま母さん」
ドアを開けて中に入った俺に母さんはもう1度おかえりと言い、俺もそれに返事する。
「おかえりカナ君」
「ただい………えっ??」
ここにいるはずのない人からのおかえり。
俺は驚いて声のした方へ目を向ける。
「何でいるの兄さん」
それはソファーに座っていた19歳の俺の兄、響(ひびき)。
顔と毛先のハネる髪質とかはともかく、性格は全く似ていないフワフワ天然の兄さんは、教師になるため今年の春に他県の教育学部のある大学へ進学し、今はそっちで住んでいる。
はずなのに、何でここに??
「カノン元気だったぁ~??」
俺の質問を聞かずに膝の上に乗せて兄さんが遊んでいるのは、3年前、子猫の時に捨てられていたのを拾ってきた黒と白の日本猫のカノン(♂)。
「ニャー」
「そっかぁ、僕もだよ」
しかも何か会話してるし。
「母さん」
「響今夏休みなのよ。大学ってほら、高校と1ヶ月くらい夏休みズレてるから」
話を聞いていない兄さんにため息を吐きつつ、母さんに問えば、ちゃんと答えが返ってきた。
「母さん今日は何??」
「今日はエビフライ」
自由な兄さんは俺の質問には答えなかったくせに、母さんに夜ご飯のメニューを聞いている。
「あっ、そうだカナ君知ってる??」
「何を??」
「エビの尻尾ってゴキ○リと同じ成分があるんだよ」
ニコニコ笑う顔とは全く似合わない言葉。
「へぇー」
兄さんのこういう天然発言には適当に受け流すのが最も賢い回避方法。
じゃなきゃ、どんどん話進めて行くからね。
「響、奏、ご飯できたよ」
「はぁーい。みんなで食べるの久しぶりだね」
母さんの声に返事をした兄さんはカノンを俺にパスして食卓へ向かった。
「俺も今からそっち行くのに……。俺も大概自由人って言われるけど、兄さんの天然な自由さに比べたらマシだよね??カノン」
「ニャー」
リンリンと首に付いた鈴を鳴らして俺を見つめる金色の目。
俺はその頭を撫で、ゆっくりと床に下ろしてから母さんと兄さんの待つ食卓へ向かった。
「母さん、箸がバラバラだよ」
「あれ??本当だ、ごめんね」
3人の箸がバラバラに組み合わされて置かれている。
母さんは俺の言葉によって初めて気付いたらしく、可笑しそうに笑っている。
「ねえ、カナ君知ってる??箸ってね」
「はいはい、それは後で聞くよ」
また今度はその笑顔で何を言うつもりなのか。
俺はとりあえず兄さんの言葉を制止し、箸をちゃんとした組み合わせに戻す。
「ニャーン」
俺達に向かって鳴いたカノンに、「ほらね??俺が1番まともでしょ??」って心の中で呟く。
だけどカノンは伸びをして寝床へ行ってしまった。
結局あれだね、長坂家はみんなとにかく自由人だ。
「ただいま」
「おかえり奏」
いつも通り玄関を開けてただいまと言った俺の声にキッチンの方から聞こえるおかえりの声。
それは、いつもどこか抜けているほのぼのとした41歳会社勤めの母、結唄(ゆう)。
俺は靴を脱ぎリビングへ向かった。
「おかえり奏」
「ただいま母さん」
ドアを開けて中に入った俺に母さんはもう1度おかえりと言い、俺もそれに返事する。
「おかえりカナ君」
「ただい………えっ??」
ここにいるはずのない人からのおかえり。
俺は驚いて声のした方へ目を向ける。
「何でいるの兄さん」
それはソファーに座っていた19歳の俺の兄、響(ひびき)。
顔と毛先のハネる髪質とかはともかく、性格は全く似ていないフワフワ天然の兄さんは、教師になるため今年の春に他県の教育学部のある大学へ進学し、今はそっちで住んでいる。
はずなのに、何でここに??
「カノン元気だったぁ~??」
俺の質問を聞かずに膝の上に乗せて兄さんが遊んでいるのは、3年前、子猫の時に捨てられていたのを拾ってきた黒と白の日本猫のカノン(♂)。
「ニャー」
「そっかぁ、僕もだよ」
しかも何か会話してるし。
「母さん」
「響今夏休みなのよ。大学ってほら、高校と1ヶ月くらい夏休みズレてるから」
話を聞いていない兄さんにため息を吐きつつ、母さんに問えば、ちゃんと答えが返ってきた。
「母さん今日は何??」
「今日はエビフライ」
自由な兄さんは俺の質問には答えなかったくせに、母さんに夜ご飯のメニューを聞いている。
「あっ、そうだカナ君知ってる??」
「何を??」
「エビの尻尾ってゴキ○リと同じ成分があるんだよ」
ニコニコ笑う顔とは全く似合わない言葉。
「へぇー」
兄さんのこういう天然発言には適当に受け流すのが最も賢い回避方法。
じゃなきゃ、どんどん話進めて行くからね。
「響、奏、ご飯できたよ」
「はぁーい。みんなで食べるの久しぶりだね」
母さんの声に返事をした兄さんはカノンを俺にパスして食卓へ向かった。
「俺も今からそっち行くのに……。俺も大概自由人って言われるけど、兄さんの天然な自由さに比べたらマシだよね??カノン」
「ニャー」
リンリンと首に付いた鈴を鳴らして俺を見つめる金色の目。
俺はその頭を撫で、ゆっくりと床に下ろしてから母さんと兄さんの待つ食卓へ向かった。
「母さん、箸がバラバラだよ」
「あれ??本当だ、ごめんね」
3人の箸がバラバラに組み合わされて置かれている。
母さんは俺の言葉によって初めて気付いたらしく、可笑しそうに笑っている。
「ねえ、カナ君知ってる??箸ってね」
「はいはい、それは後で聞くよ」
また今度はその笑顔で何を言うつもりなのか。
俺はとりあえず兄さんの言葉を制止し、箸をちゃんとした組み合わせに戻す。
「ニャーン」
俺達に向かって鳴いたカノンに、「ほらね??俺が1番まともでしょ??」って心の中で呟く。
だけどカノンは伸びをして寝床へ行ってしまった。
結局あれだね、長坂家はみんなとにかく自由人だ。
