「瑠美ちゃんだ」


「トナミちゃんもいる」


「小早川さんもだ」


1チーム目、4組からは神崎ちゃんと砺波ちゃんも小早川ちゃんがでるようだ。

そしてピストルが鳴った。
駆け出して置かれた紙を1枚掴みめくる。


「ん??3人ともこっち来てね??」


俺がそう言うと、4人もそれに頷いた。


「松岡先輩一緒に走ってください!!」


「岡本先輩お願いします!!」


「後藤先輩私と走ってください!!」


まさかの指名は俺達。
神崎ちゃんはナル、砺波ちゃんは俺、小早川ちゃんは瀬那の手を掴んで走って行く。

ゴールに着いてお礼を言われた俺達は大丈夫だと返した。
そうこうしていると2チーム目がスタート。
今度は伊吹と小鳥遊ちゃんがいる。


「長坂先輩一緒来てください!!」


「荒川先輩よろしくお願いします!!」


伊吹は走らないカナを連れ、小鳥遊ちゃんはりょーすけと手をつないでゴールしてきた。
2人もカナとりょーすけにお礼を言う。


そして大人数の1年の借り物競争は終了。

紙には何て書いてあったんだろうか。
何で俺じゃなかったのかな??

そんなことが気になりながら、俺達は伊吹達と別れテントに戻った。


そして次は俺達2年の番。
まずはカナと瀬那とりょーすけの3人。
ピストルの音で3人は紙の置かれた場所へ向かう。


「玲斗、見てみて」


ナルにそう言われ、俺は3人へ目を向けた。
すると、カナは神崎ちゃん、瀬那は砺波ちゃん、りょーすけは小早川ちゃんを連れていた。


「紙何て書いてあったんだろうな」


ゴールした3人を見ながら俺達もスタート地点へ移動した。

そして鳴り響いたピストル。
紙を掴んで中を開いてみると……。


「ははっ」


「玲斗、俺蛍ちゃん連れてくる」


「俺も行く」


俺達は伊吹達のテントへ向かい、他の1年からの視線を浴びながら俺は伊吹を、ナルは小鳥遊ちゃんを連れてゴールを目指した。

ゴールに着くと先にいた6人に迎えられた。


「そういえばさ~、みんな紙に何て書いてたの~??」


他のチームがスタートしている中、ナルが伊吹達にさっきの借り物競争について尋ねた。


「アタシは空手部の先輩って書いてました」


「だからぼくだったんだね」


小鳥遊ちゃんの言葉に納得したように頷くりょーすけ。


「あたしは口元にホクロがある人でした」


「それはまた大変なお題だったね」


伊吹のお題を聞いて苦笑いをするカナ。


「私は髪の長い男の人でした」


「それ確実ボク限定じゃね??」


小早川ちゃんのお題にそれを書いた人へツッコミを入れる瀬那。


「ワタシは男気のある先輩でした」


「それはもう俺しかいないな」


砺波ちゃんのお題に冗談でそう言うと、みんなは笑った。


「私は……女の子が大好きな人……でした」


「うん、泣きそう」


神崎ちゃんはナルをそう思っていたのか。
当たってるけどな。


「先輩達のは何て書いてあったんですか??」

伊吹がそう尋ねてきて、他の4人も俺達をじっと見てきた。
言わなければいけない状態になって、俺達は大人しく紙を見せた。


「“誰でもいいから連れて行け”??」


俺達はお互い何が書いてあったのか知らなかったから、まさか5人共同じことが書かれているなんて思わなかった。

しかも、こんなお題、伊吹達は怒るんじゃねーかな??……。
そう思いながら俺達はゆっくりと目線を上げた。
すると、俺達の心配とは裏腹に、嬉しそうに微笑む伊吹達が目に入った。


「伊ぶ……」


理由を尋ねようとした瞬間、テントに戻るようにと言うアナウンス。
俺達は仕方なくテントへ帰って行く。
そのうち絶対聞いてやろうと意気込みながら。