「プログラム9番。応援合戦です」


テントに戻ると、クラスのやつがやたら集まってきた。

周りを見渡すと、各クラス選抜された数名が様々な格好をしている。

そしてアナウンスによって午後の競技が開始された。
応援合戦は1年の1組から順番に行っていくため、俺達の出番は10番目。
それまで俺達は他のクラスの応援合戦を見ながらテントで待機。


「ありがとうございました。続いては1年4組です」


そろそろこの服装暑いぞ。
そう思っていた時、アナウンスで聞こえた1年4組の順番。


「蛍ちゃん出るって言ってたけど何するのかな~??」


「ナルも聞いてないんだ。瑠美ちゃんも教えてくれなかった」


「小早川さんも出るけど何するかは言ってくれなかった」


ボタンを外して首元をパタパタ仰ぎながらそう言ったナル。
それに続くように、カナとりょーすけもそう言った。


「とにかく恥ずかしいとしかトナミちゃん言ってくれなかったよ」


瀬那の言葉に3人は何だろうと首を傾げた。
実は俺も伊吹から出るということしか教えてもらっていない。
何かを聞いても答えてはくれなかった。


「あっ出てくるぞ」


笛の合図が聞こえ、そう言ってやると、4人はグラウンドへ目を向けた。
そこにいたのは……。


「蛍ちゃん可愛い~!!」


「………」


「ああ、なるほどね」


「恥ずかしいってそういうことか」


チアガールの衣装にポンポンを両手に持った伊吹達。

可愛いを連呼するナル。
驚いた顔で固まるカナ。
あははと楽しそうに笑うりょーすけ。
納得したように笑った瀬那。
それから、楽しそうに踊る伊吹を見て何だか楽しくなってきた俺。

俺達は伊吹達のクラスが終わった時、きっと誰より大きく拍手をしただろう。



「続いては、2年4組です」


1年が全て終わり2年に入り、早くも俺達の出番。
俺達は一緒に応援合戦に出るやつ達と円陣を組み、グラウンドへ出て行った。

太鼓の音に合わせ、俺達は力強く応援団として披露する。
いつも一緒にいるlibertyのメンバーのこんな男らしい姿を見るのもなかなかない。
俺はこぼれた笑みを隠すように必死に応援団を続けた。


「ありがとうございました」


俺達の演技が終了すると、割れんばかりの拍手がグラウンドに響いた。
俺達は5人で笑い合いながらグラウンドから退場した。



「プログラム10番は借り物競争です」


3年まで終了した応援合戦の結果は投票で決まるため今はまだわからない。
体操服に着替えてテントに戻ってくると、3学年強制参加型の借り物競争が始まろうとしていた。

借り物競争も1年から始まるため、俺達2年の出番はまだ。

それにしても今年はどんなのがあるんだろうか。
霧南の借り物競争で使われる借り物は何が当たるかわからねーからな……。
しかも、各クラス3人ずつ計18人の人数で全員出すからすげーチーム数多いんだよな。