ナルは目立つからバラけようなんて言ったが、これは逆に目立つんじゃねーか??
俺の隣で歩いているのは、ドクトルモノクルを付け、執事の格好をした男装の伊吹。
正直めちゃくちゃ似合ってて、メイド姿である自分が恥ずかしいくらいだ。
「岡本先輩」
「あっ、えっ??」
勝手にいろいろ考えていると、突然伊吹に名前を呼ばれた。
当然焦り戸惑ってしまった俺はカッコ悪く返事をしてしまった。
「嫌でした??……」
「はっ??何が??」
「あたしと一緒にいるの」
苦笑いをしながら俺と目を合わせない。
何だか少し悲しそうに聞こえた声色。
俺が悪いんだな……。
いつまでもいろいろ考えるのに必死になって黙り込んでしまっていた。
「そんなことない。沈黙は、ちょっとこのメイド服恥ずかしいな、とか考えていたからだ」
だから心配すんな。
そう伝えれば、幼い子供のようにホッとしたような顔になった。
「メイドと執事!!」
「女装と男装!!」
伊吹の表情に俺もホッと息をついた瞬間、何の断りもなくカメラを向けられシャッターを切られた。
あまりのことに動揺していると、瞬く間に撮影会へとなってしまった。
「動いてたら目立つな……どこか入るか」
ようやく人の波が去ったとき、俺がそう提案すると、伊吹は少し疲れたような顔で頷いた。
「伊吹、プラネタリウム好きか??」
ここから1番近いであろう1年6組のプラネタリウムのチラシを見つけた俺は、チラシを指差しながら尋ねる。
「好きです!」
さっきとは違い、ワクワクしたように頷いた伊吹を見て、俺は伊吹と共にプラネタリウムへ向かった。
「わぁ!!綺麗っ!!」
真っ暗な教室に浮かび上がる星。
本物のプラネタリウム並みに綺麗だ。
伊吹も思わず感嘆の声を上げてしまっている。
「岡本先輩も星好きだったんですね」
目線は星に向けられたまま、俺だけに聞こえるくらい静かに呟かれた。
「父方の祖父母……紬連れて行った方とは違う方な。そんで父方の祖父母が天文学者でさ、夏休みに遊びに行ったらよく星について教えてくれたんだよ」
母方の祖父母は苦手だけど父方の祖父母は大好きだ。
そう話すと、伊吹は黙ってしまった。
「伊ぶ……」
どうしたんだ??
そう思って声をかけようとした瞬間、突然大量の光が目に入った。
「流星群……」
それはうお座流星群だった。
文化祭規模とは思えないほどの流星群に、俺は言葉を失った。
「岡本先輩、教えてください」
「えっ??」
さっきまで黙り込んでいた伊吹が突然声を発した。
“教えてください”ってどういう意味だ??
よくわからなくて聞き返すと、ずっと星しか見ていなかった伊吹の目が俺へ向いた。
「っ……」
プラネタリウムの光が目に反射して、まるで星の粒が瞳の中にあるように見える。
「星のこと、あたしに教えてくれませんか??」
吸い込まれそうなくらい綺麗な目に、気付けば頷いていた。
「あれがペルセウス座……あっちがカシオペヤ座……それからあれがケフェウス座」
秋の星座達を1つ1つ指差しながら説明していく。
それを真剣に聴いてくれている伊吹に、何だか嬉しくなった。
「先輩がそんな風に笑っているのを初めて見ました」
一通り説明を終えたとき、伊吹はそう言った。
「そんな風ってどんな風??」
「バスケをしている時のようにワクワクした感じじゃなく……そう、とても落ち着いたゆとりのある感じです」
「!!」
知らなかった……。
今まで俺はそんな風に星を見ていたのか……。
「ははっ……何で……」
何でいつも、伊吹は俺に気付いてくれんのかな??……。
俺が言わなくても気付いてくれる。
バスケのときも、紬のときも……。
いつだって、伊吹はすぐに気付いてくれる。
だけど、そのことが嬉しくて笑ってしまったことには……。
「……気付かねーんだな」
俺の隣で歩いているのは、ドクトルモノクルを付け、執事の格好をした男装の伊吹。
正直めちゃくちゃ似合ってて、メイド姿である自分が恥ずかしいくらいだ。
「岡本先輩」
「あっ、えっ??」
勝手にいろいろ考えていると、突然伊吹に名前を呼ばれた。
当然焦り戸惑ってしまった俺はカッコ悪く返事をしてしまった。
「嫌でした??……」
「はっ??何が??」
「あたしと一緒にいるの」
苦笑いをしながら俺と目を合わせない。
何だか少し悲しそうに聞こえた声色。
俺が悪いんだな……。
いつまでもいろいろ考えるのに必死になって黙り込んでしまっていた。
「そんなことない。沈黙は、ちょっとこのメイド服恥ずかしいな、とか考えていたからだ」
だから心配すんな。
そう伝えれば、幼い子供のようにホッとしたような顔になった。
「メイドと執事!!」
「女装と男装!!」
伊吹の表情に俺もホッと息をついた瞬間、何の断りもなくカメラを向けられシャッターを切られた。
あまりのことに動揺していると、瞬く間に撮影会へとなってしまった。
「動いてたら目立つな……どこか入るか」
ようやく人の波が去ったとき、俺がそう提案すると、伊吹は少し疲れたような顔で頷いた。
「伊吹、プラネタリウム好きか??」
ここから1番近いであろう1年6組のプラネタリウムのチラシを見つけた俺は、チラシを指差しながら尋ねる。
「好きです!」
さっきとは違い、ワクワクしたように頷いた伊吹を見て、俺は伊吹と共にプラネタリウムへ向かった。
「わぁ!!綺麗っ!!」
真っ暗な教室に浮かび上がる星。
本物のプラネタリウム並みに綺麗だ。
伊吹も思わず感嘆の声を上げてしまっている。
「岡本先輩も星好きだったんですね」
目線は星に向けられたまま、俺だけに聞こえるくらい静かに呟かれた。
「父方の祖父母……紬連れて行った方とは違う方な。そんで父方の祖父母が天文学者でさ、夏休みに遊びに行ったらよく星について教えてくれたんだよ」
母方の祖父母は苦手だけど父方の祖父母は大好きだ。
そう話すと、伊吹は黙ってしまった。
「伊ぶ……」
どうしたんだ??
そう思って声をかけようとした瞬間、突然大量の光が目に入った。
「流星群……」
それはうお座流星群だった。
文化祭規模とは思えないほどの流星群に、俺は言葉を失った。
「岡本先輩、教えてください」
「えっ??」
さっきまで黙り込んでいた伊吹が突然声を発した。
“教えてください”ってどういう意味だ??
よくわからなくて聞き返すと、ずっと星しか見ていなかった伊吹の目が俺へ向いた。
「っ……」
プラネタリウムの光が目に反射して、まるで星の粒が瞳の中にあるように見える。
「星のこと、あたしに教えてくれませんか??」
吸い込まれそうなくらい綺麗な目に、気付けば頷いていた。
「あれがペルセウス座……あっちがカシオペヤ座……それからあれがケフェウス座」
秋の星座達を1つ1つ指差しながら説明していく。
それを真剣に聴いてくれている伊吹に、何だか嬉しくなった。
「先輩がそんな風に笑っているのを初めて見ました」
一通り説明を終えたとき、伊吹はそう言った。
「そんな風ってどんな風??」
「バスケをしている時のようにワクワクした感じじゃなく……そう、とても落ち着いたゆとりのある感じです」
「!!」
知らなかった……。
今まで俺はそんな風に星を見ていたのか……。
「ははっ……何で……」
何でいつも、伊吹は俺に気付いてくれんのかな??……。
俺が言わなくても気付いてくれる。
バスケのときも、紬のときも……。
いつだって、伊吹はすぐに気付いてくれる。
だけど、そのことが嬉しくて笑ってしまったことには……。
「……気付かねーんだな」
