小早川さん達のクラスへ行くと、小早川さんは男装をしていた。
ちょうどぼく達が来たときは、休憩時間に入る直前だったらしい。
それにしても……。
「ごめんね、みんなと回りたかったんじゃない??」
今ぼくの隣で歩いているのは貴族風のゴスロリ服を着た小早川さん。
女装男装が10人もぞろぞろと歩いていたら目立つというナルの提案で、ぼく達は別々に行動することに。
だけど、本当はみんなと回りたかったんじゃないかな??
そう思うと、何だか申し訳ない。
「そんなことないです、荒川先輩と回るのだって楽しいです!」
いつもと雰囲気の違う小早川さんの笑顔。
何だか調子狂うなぁ……。
「あのっ写真撮らせてもらえませんか!?」
突然後ろから聞こえた声に振り返ると、そこには一般客の女の人が3人いた。
どうやらぼく達の服装を見て写真を撮りたいと言ったみたい。
どうしようかと悩んでいる間に気付いたらシャッターを押されていた。
「私もいいですか??」
「私も!!」
気付けば撮影会になっていてぼく達は逃げられない状態に……。
「ごめんね、早く断っておけばよかったね」
「いえ、私の方こそすみません」
やっと解放され、ぼく達は2人揃って苦笑い。
こんなことじゃ本当にぼくと一緒なことが申し訳ない。
せめて楽しんでもらわなきゃ……。
「よければ入っていきません??」
どうしようかと考えていると、1年2組の子に話しかけられた。
そういえばここはちょうど1年生の教室があるところだ。
目線を上げて看板を見てみると「縁日」という文字が目に入った。
「楽しそう」
隣でボソッと呟かれた言葉を聞き逃さなかったぼくは、小早川さんの手を引いて中へ入った。
「小早川さん何がしたい??」
中には輪投げや射的、くじびきの他に、ボーリングや的当てなどがあった。
小早川さんは目をキラキラ輝かせて見渡している。
そんな姿があどけなくて思わず笑ってしまいそうになる。
「私射的がやりたいです」
服装と笑顔でいつもより幼く見える小早川さん。
普段こういう場面では自分の意見を言わないのに、文化祭ということに多少なりともテンションが上がっているのか、ちゃんと自分の意見を言ってくれた。
「ふふっ」
「どうかしました??」
何だか嬉しくて、つい笑ってしまったぼくに、小早川さんは不思議そうに首を傾げる。
「なんでもない。それよりやろうか射的」
「はい!」
お金を払い、いざ射的開始。
「うっ……難しい……」
頑張っているけれど弾はいっこうに当たらない。
当たっても景品は倒れない。
「どれが欲しいの??」
「あのうさぎの置物が……」
申し訳なさそうにそろそろと伸ばされた指の先にあったのは、小早川さんの片手に乗るくらいの小さなシルバーのうさぎの置物。
「ぼくに任せてもらってもいい??」
そう問いかけると、小早川さんは目を見開いておずおずと頷いた。
「この置物は難しいっすよー??」
コルクを詰めていると、射的を担当している1年生の子がそう言った。
「確かにちょっと難しいかもね」
目線は詰めたコルクに向けた状態でそう答え、ゆっくり銃口をうさぎへ向ける。
「でもぼくなら」
片目をつぶり、狙いを定めて。
「取れるよ」
パンッ!!
引き金を引いたと同時に高い音が教室に響いた。
その瞬間、コトンと音をたててうさぎが倒れた。
「はい、どうぞ」
受け取ったうさぎを小早川さんの手のひらへ乗せる。
「ありがとうございます」
ギュッと握りしめ、嬉しそうに綻んだ顔。
「荒川先輩??」
どうしたんだろう??
何でこんなにも……。
「……大丈夫だよ」
何でこんなにも、小早川さんの笑顔を見ると鼓動が早くなるんだろう??……。
ちょうどぼく達が来たときは、休憩時間に入る直前だったらしい。
それにしても……。
「ごめんね、みんなと回りたかったんじゃない??」
今ぼくの隣で歩いているのは貴族風のゴスロリ服を着た小早川さん。
女装男装が10人もぞろぞろと歩いていたら目立つというナルの提案で、ぼく達は別々に行動することに。
だけど、本当はみんなと回りたかったんじゃないかな??
そう思うと、何だか申し訳ない。
「そんなことないです、荒川先輩と回るのだって楽しいです!」
いつもと雰囲気の違う小早川さんの笑顔。
何だか調子狂うなぁ……。
「あのっ写真撮らせてもらえませんか!?」
突然後ろから聞こえた声に振り返ると、そこには一般客の女の人が3人いた。
どうやらぼく達の服装を見て写真を撮りたいと言ったみたい。
どうしようかと悩んでいる間に気付いたらシャッターを押されていた。
「私もいいですか??」
「私も!!」
気付けば撮影会になっていてぼく達は逃げられない状態に……。
「ごめんね、早く断っておけばよかったね」
「いえ、私の方こそすみません」
やっと解放され、ぼく達は2人揃って苦笑い。
こんなことじゃ本当にぼくと一緒なことが申し訳ない。
せめて楽しんでもらわなきゃ……。
「よければ入っていきません??」
どうしようかと考えていると、1年2組の子に話しかけられた。
そういえばここはちょうど1年生の教室があるところだ。
目線を上げて看板を見てみると「縁日」という文字が目に入った。
「楽しそう」
隣でボソッと呟かれた言葉を聞き逃さなかったぼくは、小早川さんの手を引いて中へ入った。
「小早川さん何がしたい??」
中には輪投げや射的、くじびきの他に、ボーリングや的当てなどがあった。
小早川さんは目をキラキラ輝かせて見渡している。
そんな姿があどけなくて思わず笑ってしまいそうになる。
「私射的がやりたいです」
服装と笑顔でいつもより幼く見える小早川さん。
普段こういう場面では自分の意見を言わないのに、文化祭ということに多少なりともテンションが上がっているのか、ちゃんと自分の意見を言ってくれた。
「ふふっ」
「どうかしました??」
何だか嬉しくて、つい笑ってしまったぼくに、小早川さんは不思議そうに首を傾げる。
「なんでもない。それよりやろうか射的」
「はい!」
お金を払い、いざ射的開始。
「うっ……難しい……」
頑張っているけれど弾はいっこうに当たらない。
当たっても景品は倒れない。
「どれが欲しいの??」
「あのうさぎの置物が……」
申し訳なさそうにそろそろと伸ばされた指の先にあったのは、小早川さんの片手に乗るくらいの小さなシルバーのうさぎの置物。
「ぼくに任せてもらってもいい??」
そう問いかけると、小早川さんは目を見開いておずおずと頷いた。
「この置物は難しいっすよー??」
コルクを詰めていると、射的を担当している1年生の子がそう言った。
「確かにちょっと難しいかもね」
目線は詰めたコルクに向けた状態でそう答え、ゆっくり銃口をうさぎへ向ける。
「でもぼくなら」
片目をつぶり、狙いを定めて。
「取れるよ」
パンッ!!
引き金を引いたと同時に高い音が教室に響いた。
その瞬間、コトンと音をたててうさぎが倒れた。
「はい、どうぞ」
受け取ったうさぎを小早川さんの手のひらへ乗せる。
「ありがとうございます」
ギュッと握りしめ、嬉しそうに綻んだ顔。
「荒川先輩??」
どうしたんだろう??
何でこんなにも……。
「……大丈夫だよ」
何でこんなにも、小早川さんの笑顔を見ると鼓動が早くなるんだろう??……。