さっきまでボク達を困らせていた人達は他のクラスを見に行くため、ようやく退散した。
正直もう既に疲れ切っているボク達は今すぐにでも休みたい。


「ほらほら!お客さん!」


そんな気持ちは簡単に裏切られ、まだ休憩時間でないボク達は重たい腰を上げてドアへ客を迎えに行った。


「………」


行かなけりゃよかったかな??……


「後藤先輩??」


そこにいたのはトナミちゃんを含む、よく知った5人だったから。


「蛍ちゃ~ん!!」


さっきまで男の接客をしていたナルさんは息を吹き返したように名前を呼んだ。


「ナースですか……」


「どう??私可愛い??」


「いいえ全く、それどころかすごく不愉快です、特にその足が」


網タイツにミニスカのナルさんを見て、引いたような顔をする小鳥遊さん。
ナルさんはそれでも気にせずにポーズをとって見せている。


「長坂先輩似合ってます」


神崎さんのその言葉に、カナデは口元をひくつかせている。


「瑠美ちゃん……正直に気持ち悪いって言っていいんだよ??」


「どうしてですか??本当に可愛いですよ」


「えーー……んーー……」


少し照れたように頬を染めて笑う神崎さんに、カナデは唸るように言葉を詰まらせている。


「荒川先輩……本当に女の子……」


しみじみとしたようにそう言った小早川さんに思いっ切りダメージを受けたように落ち込むリョウキチ。


「小早川さん……それ禁句……」


「どうしてですか??だって本当に女の子みたいですもん」


「いやぁ、だからね??……」


嘘偽りのない真剣な顔で小早川さんがそう言ったものだから、リョウキチもおどろおどろしく言葉を選んでいる。


「岡本先輩可愛いですけど、筋肉はやっぱり隠せませんでしたね」


クスクス笑う伊吹さん。


「可愛かねーよ……男に可愛いは禁止なんだぞ??」


「えぇ??本当に可愛いのに……」


「えっあっおい、落ち込むなよ……なっ??」


むっとしたように口をとがらせたレイの言葉に肩を落として俯いた伊吹さん。
そんな伊吹さんにしどろもどろするレイ。


「後藤先輩髪綺麗!」


女装ではなくそっちを見るのかトナミちゃん。


「ありがと、そういうとこトナミちゃんらしいよ」


「女装ですか??普通に綺麗だからわざわざ触れなかっただけですよ」


「ははっ、ありがと」


ふわっと笑うその顔に似合った言葉。
女装なんて褒められても嬉しかないけど、トナミちゃんならまあいいか。
なんて思ってしまう。