まあ最初からどうせ最後には全員ナルさんの思い通りになるって思ってたよ……。

女装をするはめになったボク達は放心状態でメイクが終わるのを待った。


「やっぱりlibertyの5人は顔がいいから完璧ね!他の男子じゃ儲けられないわ」


女子からのそんな誉め言葉に空笑いをするしかないボク達。
お互いに化粧の施された顔を見合わせ、いつもと違う顔に苦笑いとため息をもらす。


なんて憂鬱なんだろう……。


「はいっ、それじゃあこれに着替えてね!」


紙袋をそれぞれに渡され、ボク達は渋々5人で隣の教室へ移動して着替えにかかった。
唯一ナルみんだけがノリノリだ。


「ちょっと待って、全員衣装違うの??」


ボクの言葉に3人はそれぞれの紙袋の中身を覗き込む。


「あ~、それぞれにやっぱり似合うものって違うでしょ~??俺が直々に選んであげたよ~」


その顔にグーパンチをしたいと思ったのはボクだけではないはずだ。


「ほらほら~、早く着替えよ??」


ナルみんの言葉にボク達は背中合わせになり、嫌々ながらも服を着替えた。




「何だこれ……ありえねー……」


この世の終わりのような顔をしたレイが着ていたのは、白と黒のヒラヒラミニスカのメイド服。


「こんなので大丈夫なのかなぁ??」


苦笑いをしたリョウキチが着ていたのは、白と薄いピンク色のフワフワロリータ。


「チッ……本当に意味わかんない」


眉間にシワを寄せて完全にキレているカナデが着ていたのは、大正ロマン風の袴。


「ワーー、ボクネエサンソックリーー」


鏡に写る自分は姉さんソックリ。
ちなみにボクが着ているのは教師風なタイトスカートのスーツ。


「どう??か・わ・い・い??」


ウィンクをしてノリノリなナルさんが着ていたのは網タイツにミニスカのナース服。


ちなみに、髪の長いボクは地毛で、少し毛先を巻いている。
ナルさんも天パを生かして同じく地毛で、ナースキャップを付けている。
レイはツインテールにレースのカチューム。
リョウキチは緩くカールされたロングにヘッドドレス。
カナデは直毛のロングに赤いリボンのバレッタを頭の後ろに付けている。


「完全にボク達アウトじゃね??」


「俺達筋肉がアウトだよな」


それぞれの女装をマジマジ見ると、ボクとレイは筋肉のせいで完全にアウト。
顔はまだいいとして、体がダメだ。
しかも胸にパット入れてるから余計にアウト。


「え~??2人とも大丈夫大丈夫」


根拠のない発言をするナルさんは、身長と足の筋肉のせいでアウト。
って言うか、何でそんなに足出してんだ??
しかも何でパット誰よりデカいんだ??


「帰りたい……何で俺がこんなことしなきゃいけないの」


不機嫌Maxのカナデは和コスのためパットを入れていない。
だけどもともと筋肉が目立たないカナデは袴によりもっと筋肉が見えない。
どう考えてもボク達より女に見える。


「スカートって何だか変な感じだね」


スカートが気持ち悪いのか、困った顔をするリョウキチは完全に女。
女装なんかじゃなくてすでに完全な女だ。
さすが女顔。