「セナ落ち着いて、せっかくみんなで頑張ってきたから絶対大丈夫だから!それに似合ってるよ!」


「リョウキチっ!!……」


うなだれるセナに言葉をかければ、感動したと言わんばかりの顔でぼくの顔を見る。


「そろそろ6組始まるね、見に行こうよ、ドレスの瀬那」


「そうだな、行くぞ高2の変質者」


「行こう行こう~、女装家~」


「お前達ホント何なのっ!!?」


ぼくの慰めを一気に壊したカナデとレイとナルはさっさと歩いて行く。
そんな3人の背中に「バーカバーカ!!」としか言えていないセナ。
ぼくはただただ苦笑い。




6組のパフォーマンスは隠し芸。
マジックやテーブルクロス引きやジャグリングをしている。


「あっ」


カナデは何かを見つけたのか小さく声を出した。
視線を辿ると、ボーリングのピンでジャグリングをするハル君。
足が長くてスラッとしたハル君はすごく様になっていてカッコいい。


そしてバックミュージックが消え、ラストポーズを決めて6組のパフォーマンスは終了した。


「松岡、やたら華美だな」


舞台裏へ降りてきたハル君はぼくに気付いて近付いてきた。
そしてナルを見て真顔でそう言った。


「俺だからね~」


「岡本はカッコいい衣装だな」


ナルを無視してレイへ目線を向けて誉める。


「おっサンキュー」


「荒川は可愛らしい衣装だな」


「あはは、ありがとう」


誉められてるのかいまいちわからないけど一応お礼を言う。


「長坂、似合うな」


「ケンカ売ってるの??」


どう見ても悪役であろう服装のカナデを誉めるハル君と若干キレかけのカナデ。


「後藤………まあ、いいんじゃないか??」


「すっごいボク気遣われた!!」


セナのドレス姿を上から下までじっくり見た後、たっぷり間を空けて言ったハル君。


「4組のパフォーマンス楽しみにしている、頑張れよ」


片手を挙げて颯爽と帰って行ったハル君。
それと見送っているとパフォーマンス開始のアナウンスが聞こえてきた。
ぼく達は5人で円陣を組み、それぞれの持ち場へ移動。


「絶対成功させようね」


そう呟いたぼくの声を4人はちゃんと聞き取ってくれたみたいで、持ち場へ向かう足を止めて振り向き笑った後、早足で移動していった。


「それでは2年生ラストは2年4組です」


舞台の照明が消え、アナウンスが静かな体育館に響く。


いよいよぼく達のパフォーマンスの幕開けだ。