「準備が整ったようなので始めさせていただきたいと思います、それでは、1年4組です」


ぼく達の会話を中断させるように流れたアナウンス。
ぼく達は1度目を離していた舞台に再び目をやった。


「Are you ready!」


ライトがパッと明るく1人の男の子を照らす。
それと同時に高らかに叫ぶ。
それが合図のように、流れ出したハイテンポな曲。
どうやらダンスパフォーマンスをするようだ。


「曲によって人が変わるんだね」


メドレーになっている曲に合わせ、舞台で踊る人が違うみたいだ。


「あっ!蛍ちゃ~ん!」


日本人女性歌手のバラード系の曲に変わり、5人の子が舞台で踊る。
その中からいち早く小鳥遊さんを見つけたナル。


「さすが俺のハニーだよね~かっわいい~」


小鳥遊さん本人に言えばきっと殴られるようなセリフ。
ニコニコ笑うナルの顔は嬉しそう。


「トナミちゃんだ」


海外女性歌手のポップロックな曲に変わり、別の5人が舞台で踊る。
今度はセナが誰より早く砺波さんを見つけた。


「ボクもこの曲好き」


歌詞を口ずさみながら、舞台で一生懸命踊る姿を見て楽しそうだ。


「おっ??伊吹だ」


外国の映画でも使われた青春パンク系の曲に合わせて別の5人が舞台で踊る。
伊吹さんを1番に見つけたのはレイ。


「めっちゃ青春って感じで、ノリもいいよな」


鼻歌を歌いながら、ノリの良い曲を踊る伊吹さんを笑顔で見ているレイ。


「瑠美ちゃん」


可愛らしいラブソングに変わり、また別の5人が舞台で踊る。
ボソッと呟くように名前を言い、神崎さんを誰より早く見つけたカナデ。


「ははっ……可愛い……」


心からの声が口から出ていることに気付いていないようで、神崎さんを優しく微笑みながら見ている。


「小早川さんだっ」


テクノポップの曲調に変わり、今度は小早川さんも含めた5人の子が舞台で踊る。
思わず名前を呼んでしまったけど、今はそれより舞台を見ることに忙しい。


「ダンス上手いなぁ」


笑顔で踊る小早川さんを見て、いつの間にかぼくまで笑顔になっていた。


最後の曲では、1年4組の子が全員舞台で踊り、曲が終わると礼をして舞台から去った。
それと同時に体育館に鳴り響いた拍手。
ぼく達も周りに負けないくらいの大きな音で拍手をする。


「蛍ちゃんが1番可愛いよね~」


「伊吹だって上手かったぞ」


「トナミちゃんだってノリノリだったよ」


「瑠美ちゃんの方がいいよ」


拍手の中、ナルが小鳥遊さんのことを褒める。
それを聞いてレイとセナとカナデも参戦した。
ナルはともかく、3人は普段そんなことあんまり言わないのにね、やっぱり霧南祭でテンションいつもより高いからかな??
まあでも……。


「ふふっ、小早川さんも可愛かったよ」


驚いた顔をする4人にぼくは気にせず笑いかけた。