霧南祭に向けて大忙しだった日々ももう終わり。
クラス一丸となって作り上げたものをいよいよ発表する時。

9月の半ば、いよいよぼく達の霧南祭が幕を開けた。


「今日の前日祭での白雪姫、絶対成功させようね!!」


「オーー!!」


霧南祭の3日間着用する、クラスみんなとお揃いのTシャツに身を包み、委員長である夏実ちゃんの声に拳を高く上げて叫ぶ。


「みんな元気だね、あんなテンションじゃ3日持たないよ」


欠伸を1つしてユルユルと机に頭を預けるカナデ。


「奏ちゃんはせめてもうちょっとテンション上げなよ~」


カナデの髪をチョンチョン触りながらそう言ったナル。
速攻カナデに手をはねのけられたけど。


「おいおい、待ちに待った霧南祭だよ??」


「なーに年寄り臭いこと言ってんだよ」


肩をすくめて首を左右に振るセナに続き、カナデの背中を軽く叩いたレイ。


「たしかにカナデの言うように3日持たないくらいみんな元気だね」


教室を見渡せば誰もが笑顔でいる。
みんな今日という日をずっと待っていたんだとわかる。


「そろそろ開会式始まるから体育館行くよー!」


いろんな人の声が飛び交う教室に、なっちゃんからの指示が出た。
待ってましたとばかりにみんな教室から出て行く。


「ボク達も行こうか」


席を立ち、振り返ってぼく達にそう言ったセナにぼく達も席から立った。


「セツ子が白雪姫なのいただけないよね~」


「この期に及んでまだそんなこと言ってんのか」


セナの背中に軽くパンチしながら言ったナルに呆れたような顔をするレイ。


「っていうか、本当に劇しなきゃダメなの??」


「それこそ今更だよ」


めんどくさいと言わんばかりのカナデのその言葉に苦笑いをするしかないぼく。

そんな話をしながら、ぼく達は開会式が行われる体育館へと向かった。


開会式では生徒会長である臥龍先輩の挨拶や、校長先生の挨拶、3日間の注意事項などが行われた。


「それでは、クラス別パフォーマンスに移りたいと思います、まずは1年4組のみなさんです」


アナウンスにより告げられたのは、クラス別パフォーマンス。


「ねえねえ、1年4組ってさ小早川さん達のクラスだよね」


くじ引きによって行われる順番が違うクラス別パフォーマンス。
アナウンスによると1番最初は1年4組らしい。
まだ誰も居ない舞台を見ながらぼくは4人に話かけた。


「あぁ本当だ、何するのかな??」


「そういえば、何するの??って聞いたらナイショですって言われた」


他のクラスのやつに別に興味を示したりしないカナデからの意外な言葉。
それを聞いて、思い出したようにきっと砺波さんに言われたであろう言葉を口に出すセナ。


「俺も何回聞いても教えてくれなかったよ~」


「そうだな、何回も聞いてたな」


頬に手を当ててわざとらしくため息を吐いたナルに、“何回も”をやたらと強調させながら真顔でそう言ったレイ。