人との関わりを持たないようにしながら、俺は小学生になった。
「長坂奏君、陸上をしない??」
5年生になった時、先生から言われた一言。
「陸上??」
俺達の小学校は陸上をやりたいやつは5年生から陸上競技部へ参加できる。
俺は他人と関わるのが嫌で、何もかもから目を背けてきたけど、体育の時間に計測した俺のタイムに目を付けた先生から勧誘され、陸上競技部へ入ることにした。
「はぁはぁっ」
切れる息も、100mの区間を瞬時に変わり過ぎていく景色も、何もかもが俺を魅了した。
「(楽しいな……)」
大好きになった、陸上が、短距離が。
季節は流れて俺は中学生になった。
もちろん迷わずに陸上部へ入部した。
「お前ランナーらしいな」
「そうだけど……君もランナー??……」
そういえば、あの時初めて話しかけてきたのはハル君だった。
俺達はお互いに本能で敵だと思い、警戒しあっていた。
「お前っ長距離じゃっないのかよっゲホゲホッ!!」
「君こそっ短距離じゃっないのっゲホゲホッ!!」
1年の1回目の部活は全ての競技をすることから始まる。
そこで俺達はすぐに敵じゃなくなった。
何せ自分とは種目が違っていたから。
「やっぱ短距離ランナーは長坂、長距離ランナーは深春だよな」
「霧南レベル違うよな」
試合に出向く度に耳にする言葉。
どうでもよかった。
だけど、認められているようで少し嬉しかった。
そしてまた季節は過ぎていき、俺は中学2年になった。
「奏ちゃん今日はクッキー??」
「おお!めっちゃサクサク!」
「さすがカナデ!すごく美味しい!」
「カナデ本当天才」
1年の頃に出会ったlibertyのメンバーと、この頃には、まるで俺が人と関わらないというのが嘘のように仲良くなっていた。
libertyのメンバーはいつも陸上を応援してくれ、俺が作ったお菓子を美味しそうに食べてくれた。
それがいつも嬉しかった。
何よりも俺が生きる原動力だった。
「奏おかえり、ごめんね今日また会社行かなきゃいけないの……」
「いいよ、そんな子供じゃないから誕生日くらいで気を使わないでよ」
「カナ君ごめんね!僕も塾行かなきゃ……」
「だからいいってば、何で兄さんが辛そうなの」
6月20日、俺の誕生日の日。
さすがにあの頃とは違って1人で留守番することにも何も感じなくなったし、誕生日くらいで別に何か思う訳でもない。
俺は母さんと兄さんを送り出し、晩御飯を食べるためにリビングへ向かった。
「ん??誰か来た……」
晩御飯を食べていると家の中に響いた玄関のチャイムの音。
扉を開けると宅急便。
受け取り、判子を押し、扉を閉めて、荷物を持って上がった。
「俺宛てだ……」
長坂奏様と書かれたのが目に入り、俺は送り主も確認せず中を開けた。
「何……これ……」
どうしてちゃんと送り主を確認しなかったんだろう……。
「どうして……父さんのケーキが??……」
入っていたのは父さんのケーキ。
生クリーム嫌いな俺のために作られたケーキ。
キラキラとショーウインドーの中で光っていたケーキ。
「長坂奏君、陸上をしない??」
5年生になった時、先生から言われた一言。
「陸上??」
俺達の小学校は陸上をやりたいやつは5年生から陸上競技部へ参加できる。
俺は他人と関わるのが嫌で、何もかもから目を背けてきたけど、体育の時間に計測した俺のタイムに目を付けた先生から勧誘され、陸上競技部へ入ることにした。
「はぁはぁっ」
切れる息も、100mの区間を瞬時に変わり過ぎていく景色も、何もかもが俺を魅了した。
「(楽しいな……)」
大好きになった、陸上が、短距離が。
季節は流れて俺は中学生になった。
もちろん迷わずに陸上部へ入部した。
「お前ランナーらしいな」
「そうだけど……君もランナー??……」
そういえば、あの時初めて話しかけてきたのはハル君だった。
俺達はお互いに本能で敵だと思い、警戒しあっていた。
「お前っ長距離じゃっないのかよっゲホゲホッ!!」
「君こそっ短距離じゃっないのっゲホゲホッ!!」
1年の1回目の部活は全ての競技をすることから始まる。
そこで俺達はすぐに敵じゃなくなった。
何せ自分とは種目が違っていたから。
「やっぱ短距離ランナーは長坂、長距離ランナーは深春だよな」
「霧南レベル違うよな」
試合に出向く度に耳にする言葉。
どうでもよかった。
だけど、認められているようで少し嬉しかった。
そしてまた季節は過ぎていき、俺は中学2年になった。
「奏ちゃん今日はクッキー??」
「おお!めっちゃサクサク!」
「さすがカナデ!すごく美味しい!」
「カナデ本当天才」
1年の頃に出会ったlibertyのメンバーと、この頃には、まるで俺が人と関わらないというのが嘘のように仲良くなっていた。
libertyのメンバーはいつも陸上を応援してくれ、俺が作ったお菓子を美味しそうに食べてくれた。
それがいつも嬉しかった。
何よりも俺が生きる原動力だった。
「奏おかえり、ごめんね今日また会社行かなきゃいけないの……」
「いいよ、そんな子供じゃないから誕生日くらいで気を使わないでよ」
「カナ君ごめんね!僕も塾行かなきゃ……」
「だからいいってば、何で兄さんが辛そうなの」
6月20日、俺の誕生日の日。
さすがにあの頃とは違って1人で留守番することにも何も感じなくなったし、誕生日くらいで別に何か思う訳でもない。
俺は母さんと兄さんを送り出し、晩御飯を食べるためにリビングへ向かった。
「ん??誰か来た……」
晩御飯を食べていると家の中に響いた玄関のチャイムの音。
扉を開けると宅急便。
受け取り、判子を押し、扉を閉めて、荷物を持って上がった。
「俺宛てだ……」
長坂奏様と書かれたのが目に入り、俺は送り主も確認せず中を開けた。
「何……これ……」
どうしてちゃんと送り主を確認しなかったんだろう……。
「どうして……父さんのケーキが??……」
入っていたのは父さんのケーキ。
生クリーム嫌いな俺のために作られたケーキ。
キラキラとショーウインドーの中で光っていたケーキ。
