「さーて、部活行くか」
「玲斗、今日は外周するってさ~」
「ぼく達も今日外周の日だよ」
「ボクも美術室行ってこよ」
夏休みの登校日の放課後。
HRも終了し、クラスメートはそれぞれ部活や帰宅の準備を始める。
バスケ部である玲斗とナル、空手部であるリョー、美術室へ度々行く瀬那もその対象。
「カナはどうすんの??」
伸びをしながら尋ねてきた玲斗。
俺はそれにどうしようかと考えた。
「libertyの部室??」
「それとも帰るの??」
ナルとリョーも玲斗に続き質問をしてきた。
「カナデ、もしかして……」
もう1つの選択肢を思い付いたらしい瀬那。
多分俺が考えているのと同じだろう。
「うん、今日は陸上部に遊びに行ってくるよ」
そう言い俺は別れの挨拶もそこそこに陽炎が揺れるグラウンドへ出た。
「長坂」
「ハル君、遊びに来ちゃった」
「あぁ、構わない。今日は何をするんだ??」
陸上部で長距離走者を努めるハル君へ声をかける。
ハル君は俺の言葉に簡単に返事をし、何の競技をするのかを尋ねてきた。
「いつも通り高跳びとハードルと幅跳びをテキトーに回るよ」
「そうか……」
沈黙の後に何か言葉を発そうとしたハル君にいち早く気付き、何も言わすまいと俺はハル君のもとから離れた。
「長坂先輩!ちわっす!!」
「長坂先輩!」
部員でもない俺を笑顔で迎えてくれる陸上部の後輩達。
遊びに来ているだけの俺にこんなにも優しいのはハル君のおかげだ。
「やっぱり高跳び難しいなー」
高跳びの選手達が楽々超えられる高さを超えられない。
落ちたマットの上でそれを実感しながらゆっくり起き上がる。
すると少し遠い場所で見知った顔を見つける。
「瑠美ちゃん??」
俺と目が合うと、ビクリと肩を上げたのが見えた。
どうしてここにいるのかという疑問を抱きつつ、瑠美ちゃんの方へ歩いて行った。
「どうしたの??」
「長坂先輩、陸上部には入っていませんよね??……」
「うん、陸上部へは遊びに来ているだけ」
そりゃ確かに不思議に思うよね。
「入部はされないんですか??」
「しないよ……陸上は俺には合ってないからね」
目に入ったのはトラック。
真っ白の白線が伸びるレーン。
「長坂先輩」
いつもより少し強めに呼ばれ、不思議に思って瑠美ちゃんの方へ向けば、真剣な表情で俺の目を真っ直ぐ見る。
「陸上と関わることで何かあったんですよね??……」
「何でそう思うの??……」
否定も肯定もしない。
ただ質問をぶつける俺に、さっきよりもっと真剣な表情になる瑠美ちゃん。
「総体の時期の時、あの先輩“とは”何もないと言いました……それってつまり、あの先輩と直接関係なくても間接的に関係することだということですよね??」
あの先輩って、もしかしなくてもハル君のことだよね??
「さっきだって、あんなに楽しそうに競技をしていたのに、陸上は合わないなんて理由おかしいです」
「………」
「言えないような……ことですか??……」
射抜くようなその目から逃れられない。
ゆっくりと息を吐き出し、瞬きを1つ、そしてもう1度目を合わして俺は口を開く。
「わかった……教えてあげる」
俺の過去についてを。
「玲斗、今日は外周するってさ~」
「ぼく達も今日外周の日だよ」
「ボクも美術室行ってこよ」
夏休みの登校日の放課後。
HRも終了し、クラスメートはそれぞれ部活や帰宅の準備を始める。
バスケ部である玲斗とナル、空手部であるリョー、美術室へ度々行く瀬那もその対象。
「カナはどうすんの??」
伸びをしながら尋ねてきた玲斗。
俺はそれにどうしようかと考えた。
「libertyの部室??」
「それとも帰るの??」
ナルとリョーも玲斗に続き質問をしてきた。
「カナデ、もしかして……」
もう1つの選択肢を思い付いたらしい瀬那。
多分俺が考えているのと同じだろう。
「うん、今日は陸上部に遊びに行ってくるよ」
そう言い俺は別れの挨拶もそこそこに陽炎が揺れるグラウンドへ出た。
「長坂」
「ハル君、遊びに来ちゃった」
「あぁ、構わない。今日は何をするんだ??」
陸上部で長距離走者を努めるハル君へ声をかける。
ハル君は俺の言葉に簡単に返事をし、何の競技をするのかを尋ねてきた。
「いつも通り高跳びとハードルと幅跳びをテキトーに回るよ」
「そうか……」
沈黙の後に何か言葉を発そうとしたハル君にいち早く気付き、何も言わすまいと俺はハル君のもとから離れた。
「長坂先輩!ちわっす!!」
「長坂先輩!」
部員でもない俺を笑顔で迎えてくれる陸上部の後輩達。
遊びに来ているだけの俺にこんなにも優しいのはハル君のおかげだ。
「やっぱり高跳び難しいなー」
高跳びの選手達が楽々超えられる高さを超えられない。
落ちたマットの上でそれを実感しながらゆっくり起き上がる。
すると少し遠い場所で見知った顔を見つける。
「瑠美ちゃん??」
俺と目が合うと、ビクリと肩を上げたのが見えた。
どうしてここにいるのかという疑問を抱きつつ、瑠美ちゃんの方へ歩いて行った。
「どうしたの??」
「長坂先輩、陸上部には入っていませんよね??……」
「うん、陸上部へは遊びに来ているだけ」
そりゃ確かに不思議に思うよね。
「入部はされないんですか??」
「しないよ……陸上は俺には合ってないからね」
目に入ったのはトラック。
真っ白の白線が伸びるレーン。
「長坂先輩」
いつもより少し強めに呼ばれ、不思議に思って瑠美ちゃんの方へ向けば、真剣な表情で俺の目を真っ直ぐ見る。
「陸上と関わることで何かあったんですよね??……」
「何でそう思うの??……」
否定も肯定もしない。
ただ質問をぶつける俺に、さっきよりもっと真剣な表情になる瑠美ちゃん。
「総体の時期の時、あの先輩“とは”何もないと言いました……それってつまり、あの先輩と直接関係なくても間接的に関係することだということですよね??」
あの先輩って、もしかしなくてもハル君のことだよね??
「さっきだって、あんなに楽しそうに競技をしていたのに、陸上は合わないなんて理由おかしいです」
「………」
「言えないような……ことですか??……」
射抜くようなその目から逃れられない。
ゆっくりと息を吐き出し、瞬きを1つ、そしてもう1度目を合わして俺は口を開く。
「わかった……教えてあげる」
俺の過去についてを。