「ヒーーッ!!」
「大丈夫ですか??」
3番目に肝試しをするのはワタシ、砺波杏奈と松岡先輩。
何度か話したことはあるけれど、2人だけでちゃんと話したりしたことはない。
ペアだと言われた時は、正直ちょっと気まずいと思ったりもしたけど、いざ肝試しが始まってしまえば、どうやらホラーはムリらしく、さっきから悲鳴をあげる松岡先輩。
「はぁーー……女の子いるのに情けないな~」
ごめんねと苦笑い付きでワタシを見下ろす高身長の先輩。
「あはは、大丈夫ですよ」
「ありがとう、杏奈ちゃんがペアでよかった~、蛍ちゃんだったら俺呆れられちゃうところだったね~」
ヘラヘラといつも通りに笑う。
「蛍はそんなことで呆れたりしませんよ」
「ん~……でもね~、蛍ちゃんにはカッコいいところ見せなきゃね~」
のらりくらりとした言動と笑顔。
本心が全く見抜けない。
蛍について言ったその言葉は本心であるのか否か、それさえわからない。
この人は蛍のことを本当はどう思っているのかな??
「杏奈ちゃんってさ~結構肝座ってるよね~」
「えっ??」
全く話の繋がりがわからなくて、ワタシより大分高い場所にある松岡先輩の目を見る。
「セツ子にビビらなかったんだってね~、あんな金髪ロン毛の見た目ただのヤバいやつなのに」
どうやらさっきまでの話はいつの間にか切り上げられ、今は後藤先輩についての話をしているみたい。
「ワタシは後藤先輩を怖いと思ったことないです。髪だってすごく綺麗で好きです」
「へ~~」
興味深そうにワタシの話を聞く松岡先輩。
そんなにも意外なことだったのかな??
「なら……セツ子にビビらずにセツ子のことを支えてくれる??」
突然真面目なトーンで頭上から降ってきた言葉に、ワタシは勢いよく顔を上げた。
「それは……どういうことですか??」
「中学のときのこと……セツ子は杏奈ちゃんに話していないんだろうけどね」
その通り。
ワタシは後藤先輩の中学のときのことなんて何も知らない。
だけど、それをわざわざ言うってことは……。
「中学のときに何かあったんですか??」
気が付かなかったけど折り返し地点まで来ていた。
ワタシの言葉が聞こえていなかったように松岡先輩は参拝をし始めた。
ワタシも咄嗟に隣で参拝をした。
「あったよ」
「!!」
再び歩き始めてから10mくらいの場所で松岡先輩はさっきの答えをくれた。
だけど、肝心な「何があったのか」は教えてくれない。
「ごめんね、人の過去を勝手に話す訳にはいかないから」
申し訳なさそうに眉をひそめている。
ワタシは左右に首を振る。
「後藤先輩が話してくれるまで待ちます」
「うん」
また前を向く。
ゴールで待っているみんなの姿はまだ遠い。
だけど、手を振っているのが見えるくらいには近い。
「松岡先輩、支えてくれる??ってどういうことですか??」
ついさっき言われた言葉。
そういえばこのことについてはわからないままだった。
「いや、いいんだよ……なんとなくわかったから」
「??」
「杏奈ちゃんは俺がわざわざ伝えなくてもきっとどうにかしてくれるってわかった」
何の話をしているの??
どういう意味なのかサッパリわからない。
「ほらほら~セツ子来たよ~」
いつも通りの間延びした口調になり遠ざかって行く松岡先輩の変わりにワタシの近くへ来たのは後藤先輩。
「おかえりトナミちゃん」
相変わらず綺麗な髪をなびかせている。
そんな姿に自然と笑みを浮かべながら「ただいま」と返す。
「ナルさんに何もされなかった??」
冗談ぽくそう聞かれる。
大丈夫ですよ、何もされなかったし何も教えてくれなかった。
風になびき月明かりに照らされてキラキラと光る髪。
触れてはいけない気がする……。
髪だけでなく、後藤先輩の本質にも……。
だからワタシは今はまだ見ていることしかできない。
「大丈夫ですか??」
3番目に肝試しをするのはワタシ、砺波杏奈と松岡先輩。
何度か話したことはあるけれど、2人だけでちゃんと話したりしたことはない。
ペアだと言われた時は、正直ちょっと気まずいと思ったりもしたけど、いざ肝試しが始まってしまえば、どうやらホラーはムリらしく、さっきから悲鳴をあげる松岡先輩。
「はぁーー……女の子いるのに情けないな~」
ごめんねと苦笑い付きでワタシを見下ろす高身長の先輩。
「あはは、大丈夫ですよ」
「ありがとう、杏奈ちゃんがペアでよかった~、蛍ちゃんだったら俺呆れられちゃうところだったね~」
ヘラヘラといつも通りに笑う。
「蛍はそんなことで呆れたりしませんよ」
「ん~……でもね~、蛍ちゃんにはカッコいいところ見せなきゃね~」
のらりくらりとした言動と笑顔。
本心が全く見抜けない。
蛍について言ったその言葉は本心であるのか否か、それさえわからない。
この人は蛍のことを本当はどう思っているのかな??
「杏奈ちゃんってさ~結構肝座ってるよね~」
「えっ??」
全く話の繋がりがわからなくて、ワタシより大分高い場所にある松岡先輩の目を見る。
「セツ子にビビらなかったんだってね~、あんな金髪ロン毛の見た目ただのヤバいやつなのに」
どうやらさっきまでの話はいつの間にか切り上げられ、今は後藤先輩についての話をしているみたい。
「ワタシは後藤先輩を怖いと思ったことないです。髪だってすごく綺麗で好きです」
「へ~~」
興味深そうにワタシの話を聞く松岡先輩。
そんなにも意外なことだったのかな??
「なら……セツ子にビビらずにセツ子のことを支えてくれる??」
突然真面目なトーンで頭上から降ってきた言葉に、ワタシは勢いよく顔を上げた。
「それは……どういうことですか??」
「中学のときのこと……セツ子は杏奈ちゃんに話していないんだろうけどね」
その通り。
ワタシは後藤先輩の中学のときのことなんて何も知らない。
だけど、それをわざわざ言うってことは……。
「中学のときに何かあったんですか??」
気が付かなかったけど折り返し地点まで来ていた。
ワタシの言葉が聞こえていなかったように松岡先輩は参拝をし始めた。
ワタシも咄嗟に隣で参拝をした。
「あったよ」
「!!」
再び歩き始めてから10mくらいの場所で松岡先輩はさっきの答えをくれた。
だけど、肝心な「何があったのか」は教えてくれない。
「ごめんね、人の過去を勝手に話す訳にはいかないから」
申し訳なさそうに眉をひそめている。
ワタシは左右に首を振る。
「後藤先輩が話してくれるまで待ちます」
「うん」
また前を向く。
ゴールで待っているみんなの姿はまだ遠い。
だけど、手を振っているのが見えるくらいには近い。
「松岡先輩、支えてくれる??ってどういうことですか??」
ついさっき言われた言葉。
そういえばこのことについてはわからないままだった。
「いや、いいんだよ……なんとなくわかったから」
「??」
「杏奈ちゃんは俺がわざわざ伝えなくてもきっとどうにかしてくれるってわかった」
何の話をしているの??
どういう意味なのかサッパリわからない。
「ほらほら~セツ子来たよ~」
いつも通りの間延びした口調になり遠ざかって行く松岡先輩の変わりにワタシの近くへ来たのは後藤先輩。
「おかえりトナミちゃん」
相変わらず綺麗な髪をなびかせている。
そんな姿に自然と笑みを浮かべながら「ただいま」と返す。
「ナルさんに何もされなかった??」
冗談ぽくそう聞かれる。
大丈夫ですよ、何もされなかったし何も教えてくれなかった。
風になびき月明かりに照らされてキラキラと光る髪。
触れてはいけない気がする……。
髪だけでなく、後藤先輩の本質にも……。
だからワタシは今はまだ見ていることしかできない。
