だんだんと暗くなってきた中、2番目に回るのは私、小早川詩音と岡本先輩。
「おお!この仕掛けすげーな!」
「あはは」
岡本先輩とちゃんと話したことは少ないけれど、こんなテンションだから気まずくもならず、肝試しも怖いと思わない。
「舞璃が楽しそうにしている理由がよくわかります」
笑いながらそう言うと、隣にいた岡本先輩が少し後ろで立ち止まった。
どうしたのかと不思議に思い振り向く。
「伊吹??」
「えっ??あぁはい」
「伊吹、俺といて楽しそうにしてるのか??」
パチクリと驚いたように開かれた目。
何を驚いているのだろう??
舞璃を見れば一目瞭然なのに。
「すごく楽しそうですよ」
「そっか」
もう一度ちゃんと伝えれば、ニカッ嬉しそうに笑った。
この笑顔のおかげで舞璃は楽しそうなんだとしみじみと感じる。
「りょーすけにさ、小早川ちゃんのこと置いて行かないようにって注意された。別に走って行ったりしねーのに」
ケラケラ笑いながら出したのは荒川先輩の名前と話の内容。
「荒川先輩がそんなことを??」
「あぁ、りょーすけ小早川ちゃんのこと心配してたぞ」
荒川先輩がまさか私のことを心配してくれていたなんて知らなくて、何だか心がポカポカして自然と笑みがこぼれた。
「りょーすけのこと、怖いと思ったことねーの??」
ふわふわした気持ちでいる私に岡本先輩は突然意味のわからないことを言った。
言われたその言葉は私には全く理解ができなくて、とにかく頭にハテナマークばかりが浮かぶ。
「もしかして知らねーのか??りょーすけの家のこと」
荒川先輩の家??……
ますます意味がわからない……。
「噂とかで聞いたことあると思ってたけど……そうか、知らなかったのか……」
「あの……」
何かを考えるように天を仰ぐ岡本先輩。
もしかすると、何かすごく重大なことなのかもしれない……。
そう思って恐る恐る声をかける。
「俺がわざわざりょーすけの家のことを弁解するようなマネしたって仕方ねーからな」
私の言葉よりも早く、片方の手で自分の首を軽く撫でるように触りながら、苦笑いをし、そう完結する岡本先輩。
私はそれ以上聞くことは許されなくなった。
「おっ??ここ折り返しか」
目の前にはいつの間にか折り返し地点があった。
参拝を済ませ、来た道を戻る。
「さっき言ったりょーすけの家のこと知りたいか??」
聞くことを拒否されたと思っていた内容を岡本先輩はもう1度口にした。
私は驚きながらも2回頷いた。
「……りょーすけは知らず知らずのうちに、本当に離れてほしくない人には言えずにいるのかもなぁー……」
「どういうことですか??」
「いや、こっちの話」
ニッと笑うその顔は、少し切なそうに見えた。
荒川先輩のことを考えているのか、なんて、聞かなくたってわかる。
岡本先輩だけではなくlibertyのみなさんは知っているのだろう、私が知らない荒川先輩のことを。
そしてそれは、私なんかが軽薄に誰かに尋ねていいことではないということも。
「りょーすけは怖いだけなんだ」
視線を下へ落としてしまっていた私へゆっくりとそう紡がれた言葉。
ゆっくり視線を上げると、ゴールで手を振るみんなの姿が少し遠くに見え、隣にいる岡本先輩とは目が合う。
「りょーすけは、怖がられないか怖いんだ」
“怖がられないか怖い”
それは一体どういう意味なのか……。
だって、あんなに優しい荒川先輩を怖がるなんてこと……。
「おかえり小早川さん」
手を振って迎えてくれたのは荒川先輩。
私はそんな先輩に「ただいまです」と言い近付く。
「よかった、レイちゃんと置いて行かないでくれたんだね」
いつもと同じような笑顔。
もし、この笑顔が怖がる自分を隠すためだとしたら??
もし、この笑顔が自分を怖がられたりしないためだとしたら??
そんなにも怖いことなのだろうか??……
そう考えながらも、荒川先輩のことを知りたいと思ってしょうがない自分がいる。
「おお!この仕掛けすげーな!」
「あはは」
岡本先輩とちゃんと話したことは少ないけれど、こんなテンションだから気まずくもならず、肝試しも怖いと思わない。
「舞璃が楽しそうにしている理由がよくわかります」
笑いながらそう言うと、隣にいた岡本先輩が少し後ろで立ち止まった。
どうしたのかと不思議に思い振り向く。
「伊吹??」
「えっ??あぁはい」
「伊吹、俺といて楽しそうにしてるのか??」
パチクリと驚いたように開かれた目。
何を驚いているのだろう??
舞璃を見れば一目瞭然なのに。
「すごく楽しそうですよ」
「そっか」
もう一度ちゃんと伝えれば、ニカッ嬉しそうに笑った。
この笑顔のおかげで舞璃は楽しそうなんだとしみじみと感じる。
「りょーすけにさ、小早川ちゃんのこと置いて行かないようにって注意された。別に走って行ったりしねーのに」
ケラケラ笑いながら出したのは荒川先輩の名前と話の内容。
「荒川先輩がそんなことを??」
「あぁ、りょーすけ小早川ちゃんのこと心配してたぞ」
荒川先輩がまさか私のことを心配してくれていたなんて知らなくて、何だか心がポカポカして自然と笑みがこぼれた。
「りょーすけのこと、怖いと思ったことねーの??」
ふわふわした気持ちでいる私に岡本先輩は突然意味のわからないことを言った。
言われたその言葉は私には全く理解ができなくて、とにかく頭にハテナマークばかりが浮かぶ。
「もしかして知らねーのか??りょーすけの家のこと」
荒川先輩の家??……
ますます意味がわからない……。
「噂とかで聞いたことあると思ってたけど……そうか、知らなかったのか……」
「あの……」
何かを考えるように天を仰ぐ岡本先輩。
もしかすると、何かすごく重大なことなのかもしれない……。
そう思って恐る恐る声をかける。
「俺がわざわざりょーすけの家のことを弁解するようなマネしたって仕方ねーからな」
私の言葉よりも早く、片方の手で自分の首を軽く撫でるように触りながら、苦笑いをし、そう完結する岡本先輩。
私はそれ以上聞くことは許されなくなった。
「おっ??ここ折り返しか」
目の前にはいつの間にか折り返し地点があった。
参拝を済ませ、来た道を戻る。
「さっき言ったりょーすけの家のこと知りたいか??」
聞くことを拒否されたと思っていた内容を岡本先輩はもう1度口にした。
私は驚きながらも2回頷いた。
「……りょーすけは知らず知らずのうちに、本当に離れてほしくない人には言えずにいるのかもなぁー……」
「どういうことですか??」
「いや、こっちの話」
ニッと笑うその顔は、少し切なそうに見えた。
荒川先輩のことを考えているのか、なんて、聞かなくたってわかる。
岡本先輩だけではなくlibertyのみなさんは知っているのだろう、私が知らない荒川先輩のことを。
そしてそれは、私なんかが軽薄に誰かに尋ねていいことではないということも。
「りょーすけは怖いだけなんだ」
視線を下へ落としてしまっていた私へゆっくりとそう紡がれた言葉。
ゆっくり視線を上げると、ゴールで手を振るみんなの姿が少し遠くに見え、隣にいる岡本先輩とは目が合う。
「りょーすけは、怖がられないか怖いんだ」
“怖がられないか怖い”
それは一体どういう意味なのか……。
だって、あんなに優しい荒川先輩を怖がるなんてこと……。
「おかえり小早川さん」
手を振って迎えてくれたのは荒川先輩。
私はそんな先輩に「ただいまです」と言い近付く。
「よかった、レイちゃんと置いて行かないでくれたんだね」
いつもと同じような笑顔。
もし、この笑顔が怖がる自分を隠すためだとしたら??
もし、この笑顔が自分を怖がられたりしないためだとしたら??
そんなにも怖いことなのだろうか??……
そう考えながらも、荒川先輩のことを知りたいと思ってしょうがない自分がいる。