「今日晴れてよかった」


灰色の浴衣に赤い帯。
長い金髪を一挿し簪でまとめアップに。
腰の帯に挿していた赤い団扇を扇ぎながらそう言うボク。


「そうだね、花火綺麗に見えそうだね」


黒色の浴衣に白い帯。
頭にはベージュのカンピハット。
壁に背中を預け腕を組みボクに同調するカナデ。


「でもあんま暑くねーからいいな」


薄いネイビーのような色の甚平。
いつもよりヘアピンを多く使い左側の髪を上げるように止めている。
腰に手を当てニカッと笑うレイ。


「今日は気温ちょうどいいよね~」


白色の浴衣に黒色の帯。
胸元を少し大きく開ける。
かきあげた髪から見えるピアスをちらつかせながらそう言ったナルさん。


「夏祭り日よりだね」


薄い縦模様の入った黒色の浴衣に白と紫のグラデーションの帯。
紫色の巾着を持っている。
空を見上げて風を感じているリョウキチ。


ボク達は夏祭りの会場の入口でトナミちゃん達を待っている。
集合時間より早く来たのはボクだけじゃなかった。
やっぱり誘っておいて遅刻とかはマズいからなぁ。


「先輩!」


カランコロン。
複数の下駄の音。
それにつられて声の聞こえた方へ目を向けると、そこには浴衣の5人の女の子。


「お待たせしちゃいましたか??」


レモン色の生地に山吹色の花の模様の浴衣。
赤い帯には白い小さな花の模様。
髪をアップにし右横には黄色の花の髪飾り。
泣きそうに眉を寄せてレイを見つめそう問うのは伊吹さん。


「着付けに時間かかっちゃって……」


藍色の生地に淡いピンクや水色、黄緑などの花の模様の浴衣。
朱色の帯には鈴蘭の帯留め。
サイドポニーのように結ばれた髪には黒の蝶の髪飾り。
申し訳なさそうにナルから目線を逸らす小鳥遊さん。


「もっと早く来ればよかったですね」


真っ白の生地に赤と黒と白の大きな花の模様の浴衣。
薄い水色の帯には桜色の帯締め。
サイドにはビーズの髪留め。
苦笑いでリョウキチへ謝る小早川さん。


「あの……先輩??……」


白色の生地に薄い紫色の蝶の模様の浴衣。
スミレ色の帯には白色の硝子の帯飾り。
ハーフアップにした髪には白い花とレースが付いたカチューシャ。
不安そうにカナデを見上げる神崎さん。


「ボーッとしちゃって大丈夫ですか??」


真っ赤な生地に白い鶴の模様の浴衣。
白い帯には赤と黄色と紫の帯締め。
両サイドを編み込みにした髪には紫とオレンジの桔梗の髪飾り。
ボクの顔の前で手を振るトナミちゃん。


どうやらみんなボクと同じみたいだ。
目の前の女の子に「気にしないで」と声すらかけられない。


「(浴衣って3割増しって本当なんだなー……)」


未だ手を振り続けるトナミちゃんを見て内心そんなことを考えているボク。
でもみんなもきっと同じことを考えているだろう。
あーー……早く声出さなくちゃ。