「いよいよ来ました!」


「夏祭りーー!!」


ボクの掛け声に合わせて拳を上げたレイとハイタッチ。
3人は「ああ!」と思い出したように笑う。

ボク達の街で行われる夏の最大イベントである夏祭りは数多くの屋台が並び、そして約2万発の花火が打ち上がる。
霧南きっての巨大イベントには観光客も多く足を運ぶ。
そんな夏祭りが数日後に迫っていた。


「今年も射的で勝負しようよ」


「え~~、りょう強いからなぁ~」


「ふっ、そういえばナル惨敗だったよね」


「1つも掠りもしなかったもんな」


去年の夏祭りの話に花を咲かせる。
主にナルみんイジラレテルだけだけど。


「女の子いたら頑張れるんじゃない??」


ボクがケラケラ笑いながら話に入ると、ナルみんはナイスアイデアと言わんばかりの笑顔を向けてきた。


「蛍ちゃん誘おう~」


何かと思えば、ナルはニコニコ笑いながらそう言った。


「何そのご自由にみたいな顔!みんなも誘うんだよ!」


思いっきり他人事と受け流していたボク達はその言葉に固まった。


「何それ、ナルだけ誘いなよ」


「カナに賛成」


呆れた顔で言い返したカナデとそれに賛成するレイ。


「あぁ~、断られるのが怖いんだね~、奏ちゃんも玲斗も女の子誘えないひ弱君だからね~」


「ナル……」


ニヤニヤ笑いながら挑発をするナルを苦笑いしながら止めようとするリョウキチ。
だけどどうやら遅かったみたい……。


「誰がひ弱君だコラ!!チャラチャラしてるお前よりマシだっつーんだよ!!女の子誘うだと??そんくらいしてやるよ!!」


「挑発に乗るのはバカのすること……でも今回は乗ってあげてもいいよ、俺が怖がってるなんてバカバカしい、それをきっちりわからせてあげるよ」


あーあ、結局こういう時のナルの挑発に乗っちゃうんだよなーレイとカナデは。
ほら、ナルさんしてやったりな顔でニヤニヤ笑ってるよ。


「セツ子とりょうはどうする??」


「ぼくはもちろんいいよ、大勢の方が楽しいしね、それに何だかんだみんな楽しそうだし」


「まあボクもOKだよ、都合着くかはわからないけど」


リョウキチとボクの答えに満足そうに笑ったナルさんはさっそくボク達に連絡をさせた。
その返事は思いの外早く返ってきた。


「トナミちゃんOKだよ」


「小早川さんも大丈夫だって」


「瑠美ちゃんもいいって」


「伊吹も行けるって」


「蛍ちゃんももちろん大丈夫だよ~」


全員どうやら来られるらしい。
もしかすると既に5人で行く約束を先にしていたのかな??
多分……というか、絶対そうだろうな。

何はともあれ任務完了。