青い空に浮かぶ真っ白な入道雲。
ミンミンという蝉の声。
照りつける太陽によって、日増しに暑くなる気温。


本格的な夏、8月が来た。


「ってことで、海へ行こう!!」


「どういうことで??」


「ナル、とりあえず最初から説明しろ」


夏期補習は終わり、部活も午前中だけだから今日の分はもう終了。
俺達はクーラーの効いた涼しいlibertyの部室にいる。


「だから~、せっかく夏期補習も終わったことだし、そろそろ夏休みを楽しんでもいい頃じゃない??ってことだよ~」


セツ子と玲斗からもう一度説明するように言われて俺はさっきよりもわかりやすく説明をした。


「ふーん、それで何で海??」


暑い暑いって死んでたクセに、いつの間にか通常運転の奏ちゃん。


「ほら、海って夏っぽいでしょ~??暑い夏にみんなで冷たい海へ!!」


「それで、本当の理由は??」


「水着の可愛い女の子達!!」


奏ちゃんにビシッと指を向けて言った俺にクスクス笑いながら尋ねてきたりょう。
俺の素直な理由に「やっぱりね」なんて肩をすくめる。


「水着の女はどうでもいいとして、俺は賛成だ、海」


聞き捨てならない言葉も聞こえたけど、さっすが玲斗!
玲斗なら賛成してくれると思ってたよ。


「この時期の海は確かに綺麗だからなー」


次に俺の話に乗っかってくれたのはセツ子。
わかってるじゃん!


「ぼくはもちろんOKだよ、みんなとならどこでも楽しそうだからね」


笑ってそう言うりょうはどこの天使ですか??


「………」


明らかに暑そうだと眉間にシワを寄せる奏ちゃん。


「奏ちゃん、海の家に京都宇治抹茶のかき氷があるよ」


「さあ、いつ行く??」


めっちゃ食い付きいいな。
どんだけ抹茶愛してるの??


「日にちは明後日の日曜日。朝の8時に駅集合ね~」


俺の呼びかけに返事をした4人は海の話で持ちきりだ。
思ったより楽しみにしている姿を見ると、俺も海に誘って正解だったなと口元が緩んだ。


「やっとみんなで今年の夏の初めての思い出作れるね~」


その言葉に俺の方へ目を向ける4人。
少し驚いたように数回繰り返される瞬き。


「理由は女のことだけじゃなかったんだな」


「てっきり水着の女の子のことしか頭に無いのかと……」


「たまにはまともなこと言うんだね」


「アハハ、でも確かに今年の夏初めてだね」

失礼極まりない玲斗とセツ子。
真顔で言いのけた奏ちゃんと笑いながら頷くりょう。


「俺だってみんなとの思い出大切にしてるんだよ」


そう言えば、4人はふっと笑ってまた海の話をし出した。