6時。
俺の朝は自分を見つめることから始まる。


「よしっ、今日も俺イケてる!当たり前だけど!」


目覚ましを止めて真っ先に向かうのは洗面所。
身だしなみを整えて、鏡に写る自分をマジマジ見つめる。
もちろん今日もイケメンだけどね。


6時30分。
朝食を家族分作り始める。
今日は炊き込みご飯と焼き魚にしよう。


「とりあえずこれでOK~」


7時。
準備をほぼ終えて、時計を見るとそろそろ姉さんを起こしに行く時間。


「姉さん、そろそろ起きなきゃ……」


部屋へ入ろうと扉を開けた瞬間飛んできたのは扇風機。
これはまだマシだ、なんせ昨日はテレビだったから。
だから止まれ、足の震え。


7時10分。
死にかけになりながらなんとか姉さんを起こし、朝食の時間。


「うん」


それは美味しいということでよろしいでしょうか姉上。

いつも頷いて「うん」しか言わないけど、きっと美味しいと思ってくれてる。
そう信じて俺も朝食へ箸をつける。
やっぱり旬の魚は美味しいな~。


7時30分。
宿題をしつつ蛍ちゃんにSNSを送ってみる。


「あっ、返ってきた」


《朝早くから何の用ですか》


冷たい返事。
でもこれは単に冷たいんじゃなくてツンデレなんだよね、ツンデレ。
だってその後も送れば返事をくれるもんね。やっぱりツンデレだね。


「そろそろ着替えなきゃ」


蛍ちゃんとの会話も終了し、そろそろ制服に着替えて補習へ行く準備をする。


8時。
「いってきま~す」


「帰りにアイス」


「……」


「返事」


「……はい」


玄関から出ようとすると「いってらっしゃい」の変わりに聞こえくる俺をパシろうとする姉さんの言葉。
無視して行こうとすれば、危険を知らせる「返事」という言葉。
やっぱり俺は姉さんには適わない。
素直に返事してからようやく家を出る。


「~~♪~~♪」


口笛を吹きながら横を通過していく自転車に乗った女の子達を見る。
うん、みんな今日も可愛い可愛い。

家から5分のところに学校はあり、俺は毎朝ユルユルと徒歩通学をする。


8時20分。
校門付近にいる女教師と登校して来た女の子達へ挨拶をしてから下駄箱へ行く。


「ん??今何分だ??」


時計を見ると8時26分。


「ヤバい!!遅刻する!!」


8時30。
とりあえず教室へダッシュして何とか到着。

「……45分からだった」


最悪。
走ったのに意味なかった!!

それから少ししてみんなも登校して来た。


「そういえばナル今日早かったね」


「俺より先に居たもんね」


「どうせ女だろ」


「それは言えてる」


聞かれたくない質問を笑顔でするりょう。
理由を察しているのかニヤニヤ笑う奏ちゃん。
呆れたように鼻で笑う玲斗。
ケラケラ笑ってそれに同調するセツ子。


俺の朝はどうやら言ったらバカにされそうです。