「それで、りょーすけは何したい??」


突然話を振られて一瞬反応が遅れてしまった。


「ぼくは……」


ぼくがしたいこと??
うーん……、改めて聞かれるとこれといってないなぁ……。


「そうだなぁ、ぼくはみんなと居れたらそれでいいかな」


うん、これがぼくのしたいことだな。


「りょうはどこのあざとい系女子ですか」


「これが天然系男子でよかったですね」


「女の子なら犯罪決定だ」


「その場合これ何角関係だよ」


ナルとカナデはなぜか敬語。
セナとレイは真顔。
ぼくは意味がわからず頭に大量のハテナマーク。
ぼく何か変なこと言ったのかな??


「とりあえず夏休みめっちゃ遊びたいな」


「libertyのメンバーとなら何でも楽しいからね」


「今思えば1学期終わるの早かったね~」


「お前達と一緒に居たらやたら早いよ」


ニカッと笑顔を向けるレイ。
そんなレイに軽く頷いて答えるセナ。
笑顔で1学期を振り返るナル。
呆れ顔だけど楽しそうなカナデ。
何だかすごく楽しみになってきたな、夏休み。



「libertyの先輩達はいつも楽しそうですね」


昼休み、1学期最後の図書室通い。
夏休みに読む本を探しに図書室へ行くと小早川さんもぼくと同じく本を探しに来ていた。
ぼくは小早川さんに朝libertyのみんなで夏休みの計画を立てたことを話すと、楽しそうに笑ってくれた。


「私達も夏休みどうするか話し合おうかな」


「うん、夏休みについて話をするだけでも楽しいよ」


「そうですね」


笑顔で頷いた小早川さんの頭の中にはlibertyのみんなともそれぞれ関わりがある4人の女の子の顔が浮かんでいるんだろうなぁ。

そんな風に思っていると、ふと小早川さんが俯き加減になった。
それに「どうしたの??」と尋ねると、ぼくの方をチラッと見て言い辛そうに口を開いた。


「先輩と図書室で会うことができないのは少し寂しいです……」


「それなら本借りないでおこうかな」


ぼくの言葉に意味がわからないという顔をする小早川さん。


「夏休み、ここへ来て本を読むことにするよ」


言葉の意味を理解したようで、目を見開いて驚いた顔をしている。


「なら……私もここへ来て本を読むことにします」


手に持っていた本をそっとしまう小早川さん。
それが何だか嬉しくて、頭をポンポンと撫でた。


「先輩……ズルい……」


顔を両手で隠す小早川さん。
ぼくは意味がわからず首を傾げた。




「補習面倒だね」


「あー、マジでダリーな」


「課題去年より多くない??」


「2年生はだらける時期らしいからね~」


まだまだ明るい夕方の道をlibertyのみんなで帰る。
しばらくは夕日の道を制服で帰る姿は見られない。
今度見られるのは2学期が始まってから。


「学校でも夏休みでも、一緒に居られたらいつだって楽しいよ」


libertyのみんなには聞こえないくらい小さな声で呟き、みんなの声を聞きながら、暑い夏へ近付いているのを感じて手をパタパタと動かした。