ジリジリと照りつけ出す太陽の光。
1学期最後のイベントである球技大会も終わり、霧南は夏本番に差し掛かってきた。

高校生であるぼく達が今何より待っているは………。


「夏休みーーー!!!」


「フーーー!!!」


ナルとレイが大きな声で盛り上がっている。
そう、ぼく達が待っているのは1学期終了から2学期開始の間にある夏休み。


「暑い中テンション高いね」


「俺もうダメ……夏バテ……」


「早くない!?」


ナルとレイへ苦笑いを送っていると、横で机に突っ伏すカナデ。
そんなカナデに素早くツッコミ下敷きで仰いであげるセナ。


「奏ちゃんそんなんじゃ青春できないよ~??」


「別に青春なんてどうでもいい」


「チッチッチッ、夏とは女性と出会い一時の思い出を共に過ごすという素晴らしい季節!!夏の暑さに負けないくらい熱い恋愛を送る素晴らしい季節!!あ~夏休み~!!」


「よし、夏休みは家に引きこもること決定」


両手をバッと上へ挙げて力説するナルと白けた顔で引きこもり発言をするカナデ。

ナル、どう考えても逆効果だよ。
それにそんな楽しみ方するのはナルくらいだよ??


「瀬那、今年は山に行ってスズメバチと戦うんだ!」


「えーー……それはさすがに止めときなって」


「大丈夫大丈夫!だって瀬那だろ??」


「ハイ、ストップー、何でボクが行くことになってるのかな??」


ケラケラ笑いながら親指を立て「大丈夫だって」と言うレイ。
それを見て全力で首を左右に振るセナ。

さすがにスズメバチは命の危険高すぎでしょ。


「スズメバチは危ないよ、せめてクマとかイノシシとかにしときなよ??」


「(それ倒せるのお前だけ)」


「??」


何でかみんなぼくの顔を見て黙ったんだけど。



「気を取り直して、夏休みの計画立てようぜ」


紙とペンを既に机の上に用意して準備万端なレイ。
どんだけ夏休み楽しみなの。


「よ~っし、俺に任せておきなさ~い」


「ナルさんに任せると大変なことになるよ、絶対」


やる気十分なナルと苦笑いのセナはそれぞれ自分の椅子を引っ張ってきてレイの机の方へ移動した。


「ほら、カナデも一緒に考えようよ」


「俺の引きこもり計画がー……」


カナデの肩をポンポン叩いて呼びかけると、めんどくさそうに起き上がり椅子を引っ張ってきた。