「何でこうなったんだろう……」


開始から10分、ボク達のコートはギスギスしている。
お互いのミスによりお互いが身体的ダメージ……例えば、ボールを拾いに行った時ぶつかったりとかね、そんなのが多々重なり、気付けば霧南のコートはギスギスしている。


「俺のサーブ取れるかな~??」


そんなときにサーブが回ってきたのはパワーの強いサーブを放つナルさん。
思いっきりボールを叩いてサーブを放った。


「っ!!?」


「うわぁっ!!」


放たれたサーブは後衛センターと前衛センターにいるカナデとリョウキチに直撃した。


「いやっごめん!!今のは本当にわざとじゃないんだってば~!!」


必死に謝るナルさん。そしてそれを無視する2人。
ギスギスしていたところになお追い討ちをかけたみたいだ。


「トスこーい!!」


「もってこーい!!」


レイとボクのトスを呼ぶ声が重なった。
カナデはどっちにトスを上げる??


「………」


カナデの右手はボールを相手のコートへ落とした。


「っておい!!今のはボクに上げるとこでしょ!?」


「ふざけんな!!今のは俺だ!!」


ツーアタックで返したカナデにキレるボクとレイ。
そして今のはどっちのボールだったかを争うボク達。


「霧南のやつ達仲間割れしてるぞ??」


「ハッハッハッ!これじゃ今年も俺達の優勝だな」


「みんな仲良くしようやー、libertyいっつも仲良しやろー??なー??」


玖珂のコートで何かコソコソ話し合っている。
ミキはボク達を見てタジタジ。


そんな風に試合が続くなか、カナデがレイへトスを上げた。
それは突然の速攻。
だけどレイは得意の瞬発力でそれを打った。


「おぉ!!今の何かカッケー!!カナナイス!!」


嬉しそうにハイタッチをするレイと驚いた顔をするカナデ。


「ヤバい!!」


相手から放たれた高速サーブはラインギリギリで手が間に合わない。
ボクは瞬時に足を出すとそこにボールは当たり上がった。
だけどカナデのもとへは返っていない。


「りょう!!トス上げて!!」


「ナル!!任せたよ!!」


ナルみんの声でトスを上げたリョウキチ。
ナルみんはそのトスに合わせて手を振り下ろした。


「ナイス!2人共すごい!」


相手のコートへ落ち点数が入った。
ボクは2人へ駆け寄りハイタッチをした。


「セナもすごいよ!あんなギリギリだったのに!」


「だね~!りょうもナイストス!」


リョウキチとナルみんは笑顔でハイタッチをしてくれた。


「なーんや、いつも通りやん、心配して損したわ」


ニッと笑ってそう言ったミキ。
ボク達5人は目を合わせて「確かに」と笑った。


「なんだっ!?」


「霧南のやつ達一気に強くなったぞ!?」


試合はどんどん進んで行き、ボク達はいつも以上の力を発揮していた。


〈ピーーッ!!〉


「っしゃあぁぁーー!!」


試合終了のホイッスル。
ボク達霧南は玖珂工業高校に勝った。


「よくやった、これで男女共にバレーは優勝だ」


満足げな顔で迎えてくれた臥龍先輩。


「岡本先輩すごかったです!」


「荒川先輩ナイスでした!」


「松岡先輩やっぱりチームプレー上手いですね!」


「長坂先輩トスすごくよかったです!」


「後藤先輩お疲れ様でした!」


伊吹さんと小早川さんと小鳥遊さんと神崎さんとトナミちゃん。
5人の応援のおかげでボク達は勝てた。
ありがとう。


「終わったね球技大会」


「楽しかったよね~」


「優勝できてよかったよな」


「たまにはいいかもね」


球技大会の帰り道、リョウキチの言葉に頷きながら言ったナルみん。
ニカッと笑うレイにふっと笑ってそう言ったカナデ。


「せーちゃんどないした??」


立ち止まったボクを振り返ってそう尋ねたミキ。


「何でもない」


libertyのみんなとなら勝てて当然、なんせボク達だから。なんて思ったことは内緒。