「サーブ相手からだ、1本で切るぞ!!」


レイの声に「おー!!」と声を上げるボク達。
サーブは山田さんからだ。


「カナ君頼むでー!」


「カナ君って呼ぶな……」


山田さんから放たれたサーブは後衛ライトのミキが取りセッターのカナデへ返した。


「奏ちゃ~ん!」


「ナル!」


手をヒラヒラさせてトスを呼ぶナルさん。
カナデは打点が高いナルさんが得意な高めのトスを上げた。


「どんだけブロッカーがいても俺の頭上まで届かなきゃ意味ないよ……ねっ!!」


3枚ブロックなんて諸ともせず、甲陽のコートへ始めの点数を決めたのはナルさん。


「ボクで点数稼げるように頑張るよ」


サーブ権は霧南へ移った。


「いくよ」


コースサーブを打てば、甲陽はボールを拾うことが出来ずに落ちた。
それを何度も繰り返し、ボクのサーブで5点を取った。


「ネットインや!!」


「ほらほら!奏ちゃん!」


「ナイスナル!」


「カナ!レフトー!!」


「玲斗!」


「リョウキチ返った!」


「任せて!!」


声が飛び交うコート。
ボク達のコートにボールを落とさないように走る。


「ライト!!」


「カバーカバー!!」


「レフトこーい!!」


「ナイストス!!」


甲陽学園もボク達と同じ。
去年優勝した玖珂工業高校と試合をするためにはここでは負けられない。
ボールが自分達のコートに落ちないように声を交わし、走り、手を出す。


「悪いけど俺達も負けられないんだよね~」


甲陽学園の姿を見て、ボクと同じことを思ったのか、そう宣言するナルみん。


「やっぱりここまで来たら優勝したいもんね」


ナルみんに続いてそう言ったのはリョウキチ。


「せやなー、ここで負けられへんわ」


ミキもナルみんとリョウキチに賛成する。


「負ける気なんてサラサラねーよ」


ニッと笑ってそう言ったのはレイ。


「まったく……どんだけやる気あるの」


ため息をつきながらも楽しそうなカナデ。


「もう少しだよ!!頑張るぞ!!」


ボクの声に頷く5人。
ベンチでは臥龍先輩が面白そうに笑って見ている。
トナミちゃん達は応援をしてくれている。


ボク達は点数を重ねていき甲陽学園との点数差を広げた。
そして……。


〈ピーーッ!!〉


試合終了のホイッスル。
挨拶を交わしてコートを出てベンチへ移った。
ベンチには臥龍先輩とトナミちゃん達。


「イエーイ!」


Vサインをしたボク達6人。
それに笑顔を向けてくれた。

ボク達は甲陽学園に勝った。



いよいよ最終戦。
去年霧南が惜しくも敗北した玖珂工業高校との試合。
ボク達は少しの緊張と興奮でウズウズしながらホイッスルの音を待った。


「お願いしまーーすっ!!」


ホイッスル音と同時に交わした挨拶。
試合開始だ。