天使と悪魔



「おい、お前らもやれよ‼︎」

大場の子分に呼びかける。


子分たちは大きく返事をすると、空を蹴ったり殴ったりした。



40分ほどが経ち、ようやく飽きた大場たちは笑いながら帰っていった。



空は数分その場に座って深く深呼吸をした。



ヨロリと立ち上がると、鞄をしょった。



蹴られてズキズキと痛む足を引きずりながら、家へと帰った。




「ただいま……。」


倍の時間をかけてようやく家へたどり着いた空は、小さな声で言った。


「おかえり。遅かったわね。」


「ごめんなさい…。」


お母さんはまた台所へもどった。



空がイジメられていることは知っていたが、空になんの興味も示さないお母さんは、たいして心配などしていなかった。






ゆっくりと階段を上がり、自分の部屋に入った。


ここだけが、唯一安心できる場所。



空は椅子に座ると、深くため息をついた。