ドタドタと聞こえる数人の足音。


空は息を殺して必死で口を押さえる。



(どうか、どうか気づかれませんように…‼︎)

空は何度も何度も心の中で叫ぶ。




しだいに足音は小さくなる。



ホッとした空は、周りを警戒しながらロッカーからでる。

誰もいないことを確認すると、ガクガクと震えていた足を地に着けた。



こうしちゃいられない…

家に帰るまでは安心できない…



『死ね』や『クズ』等が書かれたボロボロの鞄を肩にしょい、フラフラと靴箱へ行った。



これまた落書きがされている靴を取ろうとしたその時ーー…



「よお、どこ行ってたんだよ」



太い手が空の肩をギュッと掴む。