鳥の巣を直すのに手こずりながらも、だいたいの身支度を整えると、アナウンサーの『紫外線にはご注意ください』という優しい忠告に従い、日焼け止めをおしげもなく塗りたくった。
まだ五月だというのに、外はサンサンと日光が降り注いでいる。
素肌を晒すにはあまりにも無防備だった。
太めのジーパンにロンTを着ると、青いリュックサックを背負って、お気に入りのゴツめのスニーカーを履いた。
黒いロングヘアさえなければ、私は男の子にみえただろう。
そういう出で立ちだった。
残念ながらその黒いロングヘアが私の数少ないアイデンティティでもある。
玄関を出ると、強い日光が私の黒髪を照らし、黒髪は日光に応えるように、艶やかに煌めいた。
その横でささやかに、小さな青いピアスも日光を反射させた。
