「今日はアカネに猫の素晴らしさを伝えたいと思います」


「…………は?」


一瞬、この人は何を言っているんだろうと思ったが、脳内ですぐさまある結論に辿り着く。

もしかして、これは放課後遊ぼうと、誘われているのではないかと。


「今日は、アカネに、猫の素晴らしさを、伝えたいと思います」


さっきと寸分変わらぬ文を繰り返された。

更に抑揚をつけ、はっきりとゆっくりとした口調で。



「……あと1ヶ月でテストだし、明日数学で当たる予定があるから、勉強したいの」


「どうせそんな問題、3分もあれば解けるんだろ?もし本当にわからないなら、俺が解法も答えも教えてあげる。不満ある?」



最もらしい理由を伝えたのにあっけなく一蹴されてしまった。



不満なんてあるはずがない。あると言わせないものを彼はちゃんと持っていた。


「…わかった」


私の負けだ。勝負にもなっていなかった。