もくもくと作業をこなしていると、頭上
に感じる視線が気になり始める。


教室に入ってきたときのような刺すような冷たい視線ではなく、自分のペットを観察するような柔らかい視線だった。


「……私の顔に何かついてる?」



5分ほどして視線を逸らす気配がなかったので、痺れを切らしその視線の持ち主に話しかける。


やっぱり、何回見ても彼は美少女にしかみえなかった。



「ついてないよ?なーんか、一生懸命頑張っててさ、健気で可愛いなあと思ってみてた」



持て余す頭脳を持つ身とすれば、躓きながら英文と格闘する私はさぞ健気で惨めにみえるのだろう。


不細工なマスコットをブサカワと称し持て囃す女子高生が脳裏によぎる。


そういうことだ。




「…そうですか」


「あれえ?怒った?なんでなんで?」



ビー玉のように輝く大きな瞳。パチパチと瞬かせると、愉快そうに口角を歪めた。

あの有名なアニメーション映画に出てくる悪戯っ子の紫の猫のようだ。



彼の容姿は主人公の可憐な少女の方が近いというのに。



「怒ってないよ」

「怒ってんじゃん。でも、そんなアカネも可愛い~」

「……からかわないで」

「本当だって。俺、アカネみたいなのに弱いんだ。高貴な猫系女子ってやつ?」