考えるな、と頭を一掃するようにブルブルと振った。
英語のノートを開くと、長ったらしい英文が目に飛び込んできた。
昨日の晩、血と肉をすり減らし、苦労して写した文だ。
あまりの量に生徒が先生にクレームを出したが、先生はそんなこと我関せずといった様子で、突っぱねていた。
そんな様子の先生に生徒が散々暴言を吐いていて、いつもは傍観していた出来事だったが、そのときばかりは私も加担しようかと本気で考えた。
昨日の晩は写すだけで終わってしまった英文を眺める。
この英文を今から和訳しなければならないと思うと中々気が滅入った。
朝礼まで15分ほどあるが、4分の1くらいしか終わらないだろう。
他国の言語をなぜこんなに必死になって勉強しなければならないのだろう。
他国の言葉を敬う前に、自国の言葉を宝物のように大切にするべきではないのか。
予備校の講師が『大学生になったら今まで習った英語の概念は捨てなさい』と言っていたのを思い出して、ますます意味がわからなくなったし、やる気も削がれた。
