青春

気がつけば、悠斗兄ちゃんが帰って来ていた。
「はい。ごめんなさい・・・迷惑かけて・・・」
「いや、ええよええよ。俺、迷惑かけられんの慣れてるから大丈夫！」
そう言って悠斗兄ちゃんは私に視線を向けた。
(悪うございます〜・・・)
心の中でそうつぶやき、笑ってごまかした。
「で、近藤くん、美味香ちゃんの現状は？」
大ちゃんが思い出したように悠斗兄ちゃんに聞く。
「あ、そうやな。それやけど・・・」
悠斗兄ちゃんは少し間をおいて喋り始めた。
「ストレス疲労やって。溜め込みすぎて体おかしくなってもうたらしい。2、3日入院してくれって。」
”ストレス”と聞いた美味香は、少し体がピクッと反応した。
「なぁ、学校で何かあったんか？家来た時も暗かったし・・・・・・俺ら、何でも相談のるで？」
悠斗兄ちゃんは優しく美味香に問う。
「そうやそうや！吐き出した方が楽になんで！」
大ちゃんもそう言って美味香の言葉を待つ。
「・・・・・・・・・ジメ・・・」
「ん？」
美味香は静かに喋り始めた。
「イジメられてるんです。私。
私がトップなのが気に食わない子たちに・・・
衣装破られたり、ネタ帳トイレに突っ込まれたり・・・
私がネタ見せしてる時もずっと睨んでくるし・・・
でも、誰にも相談できなくて・・・
だって相談したら、また迷惑かけちゃうし・・・
お母さんも家にあんまりいないし・・・
だから・・・誰にも・・・」
美味香は半泣きだった。
目に涙は溜まっているものの、落とすまいとしている。
そして、美味香は衝撃的な発言をした。