「美味香・・・?美味香・・・?」
美味香が舞台で倒れてから数分後、トークライブは中止になり、美味香は救急車で運ばれ、悠斗兄ちゃんが保護者として一緒に病院へ行った。
私と大ちゃんは今、美味香が眠っている病室で待機中。
「大ちゃん・・・美味香・・・大丈夫かな?」
「さぁ・・・今は近藤くん待つしか・・・」
悠斗兄ちゃんは保護者として、先生のところへ美味香の現状を聞きに行っている。
「美味香・・・お願い・・・目、覚まして・・・」
私は美味香の手を強く握った。
すると・・・
「・・・・・・・・・んっ・・・」
美味香が少し声を上げ、手を握り返した。
「美味香・・・?」
「・・・・・・・・・ん・・・愛・・・海・・・?」
まだ視界はぼやけているようだが、美味香は確かにこちらを向き、私の名前を呼んだ。
「美味香・・・!よかった・・・!生きてた!」
「うん・・・ここは・・・?」
「病院!美味香、救急車で運ばれてん!」
「トーク・・・ライブは・・・?」
こんな時でも仕事を心配するなんて・・・
バカだな・・・美味香は・・・
「中止になったで!そんなことより大丈夫?」
大ちゃんも美味香にに優しくたずねる。
「中止・・・私・・・2人に悪いことした・・・」
「大丈夫やって!それより体はどうなん!?」
大ちゃんが少し強い口調で言う。
本気で美味香を心配している証拠だ。
「あ・・・ごめんなさい。大丈夫です。」
「「よかった・・・。」」
私と大ちゃんは2人同時に溜息をついた。
「お!姫野起きたか!」