私もそれにつられて走る。
走っている山野さんの横顔にドキッと胸が高鳴る。
(あかん・・・やっぱり山野さんに恋してる・・・)
「ここ、ここ!間に合った!」
「はよ用紙出しといで!」
いつの間にか追いついていた浜松さんに急かされる。
「はい、ありがとうございます!」
少し息切れしながら何とか用紙を提出する。
「じゃあ、明日2万円持ってきてくださいね」
「はい」
手続きを済ませ、職員室を出る。
すると、山野さんと浜松さんが待っていた。
「待ってたんですか?」
「うん、ついでに学校案内してあげるわ!」
そう言って、また私の手を引いて歩き出す。
すると、浜松さんが
「おい、もう手繋がんでええやろ?」
と、つっこむ。
「いいやん♪俺と手繋ぎたいやんな〜」
そう言って私に笑顔を見せる山野さん。
直視できず、思わず下を向く。
「あかん!イキリアレルギー出てまうから早よ離せ!」
「そんなアレルギーないやろ!」
浜松さんに文句を言われ、山野さんが私の手を離す。
「そう言えば、まだ名前聞いてなかったな!君名前は?」
山野さんにそう言われ、自分がまだ自己紹介していないことに気がついた。
「あの、私、姫野美味香です。よろしくお願いします!」
「へぇ〜美味香ちゃんか!可愛い名前!」
おい、イキリスト!誰が下の名前でいいって言った?」
「あ、いいですよ。好きに呼んで下さい。」
(美味香ちゃん・・・)
山野さんにそう呼ばれ、少し嬉しかったりする自分がいる。