「ごめんなさい・・・ついてきてもらって・・・」
私は近藤さんに謝った。
「ええよ、ええよ。初めてでわからんやろ?色々教えたるわ」
さすが近藤さん。
関係者入り口も顔パス。
「あの、その人は・・・」
「あ、今日のトークライブのゲスト」
「あ!美味香さんですね。どうぞ、どうぞ!」
うぅ・・・すっごく緊張する・・・
本当に上手く喋れるかな・・・
「あれ、緊張で顔が強張ってるぞ!」
近藤さんがそう言って私の頭をポンポンと撫でる。
「ごめんなさい・・・」
とりあえず謝り、私は顔をパンパンとはたく。
「あ、あった!Campusの楽屋!」
そう言って近藤さんが指差したドアには確かに「Campus」の張り紙。
近藤さんはノックもせずに楽屋に入っていった。
「おっす!今日のゲスト連れて来たで!」
「あ!近藤さん!おはようございます!!」
「何で近藤さんが?」
楽屋からは2人の驚いた声が聞こえてくる。
急に緊張がピークになる。
(どうしよう・・・)
「さ、姫野入り!」
近藤さんに手招きされ、私は恐る恐る中に入っていった。
《ほら、挨拶!》
何も言えずに下を向いている私に、近藤さんが小声で注意する。
「あっ、あの・・・今日はよろしくお願いします!」
そう言って、私は勢いよく頭を下げた。
「うん、よろしく」
「大丈夫やで。そんなに緊張しんくっても!」