「また何か言われた?」
「ううん・・・あの、何で彼らより私の方がネタの評価が高いんですか?あの2人はしゃべりも間も完璧。息もピッタリですよね?なのに、なんで私の方が上なんですか?」
私にはわからない・・・
芸人だけがわかる質問・・・
今日悩んでたのがそれだったらいけど・・・
「う〜ん・・・何て言うか・・・楽しさが感じられへんって言うか・・・」
「うん、ピンはお客さんに話しかけるようにすれば問題ないけど、コンビってそうはいかへんねん」
「お客さんに話しかけ、なおかつ自分らの世界にひきこまなあかん・・・あいつら、その技術は高いねん」
「でも、肝心の2人が楽しそうにしてなかったら意味がないねん。もっと漫才を楽しまんと・・・」
あの2人が漫才を楽しんでない?
私はそんな風には見えないけど・・・
「確かに。2人は漫才を楽しんでない気がします。多分あれは、プレッシャーや緊張からくるものかと・・・」
マジで!?
3人の目にはそうやって映ってたんだ!
「うん、そうやと思う」
「そこを告白できればいいのになぁ・・・」
「でも教えたら私の順位落ちちゃうな・・・」
(芸人も色々大変やな〜・・・)
芸人にはならないと決めました。
そもそも人を笑わせること、私には無理だし・・・
「そうだったんですね・・・ありがとうございます。」
「いえいえ」
「どうしたしまして」
そう言うと、美味香はまた考えた。
でもさっきよりはちょっとまし。
闇から曇りに変わった。
美味香、まだ悩んでることがあるの?