パールは泡を食って逃げようとしたが、

「見ろよ! 金の髪だ!」

「妖怪だ! 森に住む妖怪の仲間だ!」

5、6人の10歳前後の少年たちの群れがあっというまに彼を取り囲み、逃げ道をふさいだ。

子供と言う生き物は時に残酷だ。パールに群がった彼らは無遠慮にパールの髪に手を伸ばし、ぶちぶちと引き抜き始めた。パールは痛くて涙目になった。

「すっげえ、見ろよ、ほんとに金色だ!」

「この、妖怪! 退治してやる! えいっ」

拳でぽかりとやられ、パールの堪忍袋の緒が今にも切れそうになる。だが、ここで力を使って騒ぎを大きくしてはまずい。まずいのだが――

「泣け泣け! 妖力を使ってみろよ! へ~んだ」

「…………!」

パールはばかにされるのが大嫌いだった。たとえ相手が子供でもだ。

パールがいよいよ力を使おうと拳を握りしめた時だった。