パタン、と静かに閉まる扉。 その扉をじっと見つめていた。 そして、仕方なく彼の待つリビングへと戻った。 「陽人は?」 「…帰った」 恥ずかしくて口数が少なくなるあたし。 彼もあまり喋らなかった。 「洗い物したら帰るから」 あたしは、使った食器を丁寧に洗った。 その間、一言も会話を交わさなかった。 水の流れる音と、食器のぶつかり合う音だけが 部屋中に響いていた。