本当の居場所



「え? さゆ?」


座り込むあたしを見て、陽人が声をかけた。

見上げると、自転車を押す陽人の姿があった。


「何してんだよ。もう9時だぞ!?」


心配するような陽人の声。

あたしは立ち上がりながら、言った。


「話があったから、待ってた」


1ヶ月ぶりの陽人。

こんな理由で、会いたくなかった。

陽人に会う時は、いつも笑顔で会いたかったのに。


「中、入れよ」


陽人は自転車を止めると、玄関のドアを開けて中へと入った。

あたしもそれに続く。