俺様王子様

「これ、おいしいですわよ」

そんなあたしの様子を知ってか知らぬか、杏菜ちゃんは料理をお皿に盛ってくれた。

「…おいしい」

そんなあたしの横で杏菜ちゃんはさらに料理を盛っていた。

「杏菜ちゃん、それ」

と聞くと、

「山神様に持って行きますわ!山神様はこれとこれが好きですの」

と答えた。
あたしも、未月に何か持って行ってあげようと思った。
だけどあたしはその手を止めた。
未月がどんな料理が好きか、どんな味付けが好きなのか知らないのだ。

(あたしって、何なんだろう)

ふと目に入った杏菜ちゃんと山神くんはとてもお似合いだった。
そんな2人を見るとうれしくもあるけど、自分がバカみたいに思えた。
未月はそこら辺ちょろちょろしてろって言ったけど、ちょろちょろできる程の余裕なんてあたしにはなかった。
この会場にあたしの居場所なんてない。