俺様王子様

「ははは!今度うちの娘とデートでもしてやってくれよ、未月くん」

でかい声があたしの耳に飛び込んでくる。
そのおじさんの隣には、顔を真っ赤にした女の子。
多分隣のクラスの女の子だと思う。

「はい。是非」

未月はニセモノ王子スマイルで答えていた。
女の子はそんな未月の返事に目をウルウルさせて、今にも泣き出してしまいそうだった。

「気になさることないですわよ。あんなの社交辞令ですから」

いつの間にか現れた杏菜ちゃんが言った。

「うん…」

わかってる。未月にとっては自分の学園と関わりのある人たちなのだから、いい顔するのは当たり前なのだ。
だけど、それが社交辞令なのかどうかはあたしにはわからない。
…だって、未月から好きだとはっきり言ってもらったわけではないのだから。
こんな場にあたしを連れてきた未月の気持ちが理解できなかった。