「今日は席替えをします」

入学して初めての席替え。
未月のタキシード姿を妄想していたあたしは、先生の話にはっとする。
くじを引いて、その番号の席に移動する。
未月は教室の真ん中。
あたしは窓際になった。
杏菜ちゃんは、廊下側で離れてしまった。

「隣、桜村さんだ!よろしくね」

そう声をかけてくれたのは三咲くんだった。
ちょっとだけだけど話したことがある男子が隣で安心した。




席替えをして、未月のことが嫌でも目に入ってくるようになった。
前はあたしが前だったから、気にもとめなかったけど。
それとも、こんなに気になるのは未月とあんなことがあったからだろか。

キャラだから仕方ないけど、みんなに優しく笑う未月。
休み時間の度に女子に囲まれている。

「はぁ…」

意識をしてなくても思わずため息が漏れた。