「…だってそんなふうに見つめられたら何にも言えなくなるじゃない…‼︎」

あたしがそう答えたら、未月は少しだけ驚いた顔をしたけどすぐににこっと笑った。

「…それじゃあ朱莉だってずりーよ」

「なんでよ」

「その顔、反則」

そう言って未月はキスをした。
そして、あたしの耳元で

「これの反対」

と囁いた。

「キス…の反対?」

(って、スキ?)

あたしが未月の瞳を覗き込むと、未月は優しい笑顔を見せるだけでそれ以上は何も言わなかった。

やっぱり未月はずるい。
肝心なことなのに、ちゃんと口に出してはくれない。
その代わりにあたしに落とすキスがやけに甘くて、言いたいことの半分も伝えられない。

「朱莉は?」

未月のキスでボーッとしているところに、そう聞かれた。

「え…」

「どう思ってんの?」

「えっと…キスの反対?」

「ダメ、ちゃんと言って」

「………好き」

あたしがそう答えたら、未月はすごく満足そうだった。