未月は、そんなあたしをじーっと見ている。

「……やりづらいんですけど」

あたしが未月を見るといつもみたいな意地悪な笑顔じゃなくて、優しい笑顔を見せた。
そんな表情を見て、あたしの胸のドキドキが一気に高まる。

(そーゆー顔、ずるい)

あたしはそう思った。

「…わかんないとこ、教えてやるよ」

未月はあたしの隣に座った。

「え、教えてくれるの?」

「ん。赤点取りたくないんだろ?…どこ?」

あたしのプリントを覗き込む顔をが近い。
未月のいい匂いがすぐそばにある。

(近いよーっ‼︎)

あたしはドキドキしながら、

「えっと…ここと、ここ」

とわからないところを指差した。

未月は問題文を声を出して読んだ。
横を向いたら真剣な未月の表情がすぐ隣にあって、ますますドキドキが加速する。