「バカじゃねーの、たまたまだろ」

と未月は言った。

「はぁ?こう見えてもこの学園に入学してから何回か告られてるんだから!杏菜ちゃんだって委員会であたしのこと聞かれたりしたって言ってたもん‼︎」

と言い返した。

「告られたってマジ?」

「嘘ついたってしょうがないじゃん!杏菜ちゃんにはモテ期だって言われたんだから」

フン!とあたしはそっぽを向いた。
そんなあたしの腕を掴んで未月はあたしをソファーに押し倒した。
あたしを見下ろす視線がまっすぐすぎてまばたきをするのも忘れそうだ。

「…いい匂いすんな、朱莉」

あたしの首筋に顔を埋めて未月が言う。

「ちょ…っと」

「朱莉は誰にでもニコニコしすぎなんだよ」

「…なによそれっ」

未月はあたしの手を取ってキスをした。

「やだっ…くすぐったい」

「うるせーな!朱莉は俺のもんだって言ってんだろ!おとなしく俺の言うことだけ聞いてりゃいいんだよ!」

「意味わかんな…っつ!」

そう言い終える前に未月に唇を塞がれた。
息をするのも忘れそうになる。
しばらくすると、やっと唇を離した未月はもう一度あたしを見ると部屋に戻ってしまった。