「鏑木さんは、いつから山神くんを?」

「わたくしですか?…笑わないでくださいね!…小さいときからずっと、ですの」

「小さい頃から?」

「ええ。わたくしと漣様は幼なじみですの」

「へぇー!素敵‼︎」

鏑木さんの恋は、まさにあたしが憧れていたようなものだったから、そんなセリフが自然と出た。

「そう…でしょうか?」

「うん!素敵!笑うなんてとんでもないよ!うらやましいな、鏑木さんが」

あたしはそう言った。

「でも、桜村さんは未月様をお慕いしているのでしょう?」

不思議そうに鏑木さんは言った。

「そんなんじゃないよ」

「でも、さっき交際なさってるって…」

「それは成り行きで、別に本当の恋人同士ではないの」

そう。未月は別にあたしのことなんて好きじゃない。
そう思ったら、なんだか悲しくなった。