重く大きな扉をギイっと引く。
その途端、悲鳴のような叫び声に包まれた。

「おめでとうございます!」

同じ制服を着た男子がそう言ってあたしに近づいて来た。

「…はぁ?」

「お名前は?」

「桜村朱莉です…」

「いやぁ、朱莉さん!ついてますね」

「え?」

状況が理解できなくてちんぷんかんぷんなあたし。

「寮の同部屋は、町屋未月様だからですよ!」

「はぁ…」

(町屋未月って子があたしと同じ部屋なんだぁ…でも何がラッキーなんだろ?)

と思っていると、

「もういいよ。わざわざありがとう」

と声がした。それと同時ぐらいに女の子の黄色い声が飛ぶ。

「うるさっ…」

あたしは耳を塞いだ。