「桜村さん!」

あたしがひとりで帰っていると、後ろから三咲くんの声がした。

「帰るの?」

「うん」

「じゃ、途中まで一緒に行こう!」

「毎日部活大変だね」

「大会前だから最近はキツイよー」

「え!それじゃわざわざ部屋まで迎えにきてくれるの、大変じゃない?」

「そんなことないよ♪」

「でも…悪いよ」

「悪くないって!今日は桜村さんどんな私服かなー?とか考えながら向かうの結構楽しいんだ!疲れてんの忘れちゃうよ!」

三咲くんは無邪気に笑うけど、サラッとドキドキするようなことを言う。

「あの、さ」

そう言って三咲くんは少し間を置いた。

「朱莉ちゃんって呼んでもいい?」

「えっ‼︎」

突然のことでびっくりする。