「じゃ、交換しよ!」

あたしは持っていた携帯を取り出して番号とアドレスを交換した。

「ディナーの時間、毎日迎えに来るから!」

「え?」

「そしたら毎日ちゃんとごはん食べられるでしょ?」

「それでわざわざ来てくれたの?」

三咲くんは何も言わずにただ笑顔を見せてくれただけだった。
その三咲くんの優しさが、今は痛いほど心に染みる。

「もー…桜村さんは泣き虫だなー」

そう言いながら三咲くんはあたしの頭をくしゃっと撫でた。


ディナーは、三咲くんがいろいろ話してくれたおかげで未月と神藤さんのことはあんまり気にならなかった。
周りのみんなも何となくあたしたちの雰囲気にも気付いているようで、未月とのことも三咲くんと一緒に食事をしていることも特に突っ込んでくることはなかった。