未月とあたしはファーストクラスに乗った。

「こんなの初めて!座席がちょー広い‼︎」

はしゃぐあたしを未月は優しい笑顔をして見ていた。

(騙されちゃだめ!)

あたしはそう自分に言い聞かせる。

「知ってた、朱莉」

「えっ?」

次の瞬間、あたしは座席を倒された。

「こーゆーこともできるんだよ?」

そう言って未月はあたしの首筋にキスをした。

「やっ…ちょっと…」

未月の唇が熱くて、嫌なはずなのに頭がぼーっとしてしまう。
そして、未月は当たり前のようにあたしにキスをした。
身体の奥がじわっと熱くなる。
こんな感覚は初めてだ。

「抵抗しないんだな」

未月はニヤリと笑った。

「え…?」

まだ冷めない感覚にぼーっとしながら未月を見た。

「あーっ‼︎もう!何て顔してんだよ!わざとやってんの?」

頭をガシガシかきながら未月は言った。

「わざとって…?」

未月の言ってる意味がわからなくて聞き返す。

「天然ならタチ悪過ぎだろ…」

未月はブツブツ呟いたあと、もう一度キスをした。

「他のヤツの前でそんな顔見せたら許さねーからな」

唇を離すとそう言った。

(そんな顔ってどんな顔よっ)

あたしはそう思った。