カーテンの隙間から差し込む光で目を覚ます。

「おはよう、朱莉」

そう挨拶されて、

「う〜ん…おはよー…」

と返事をした。

(ん…⁉︎おはよう?)

ぼんやりしていた視界が開けてくると、目の前には未月がいた。

「ぎゃーーーーーっ‼︎‼︎」

あたしは飛び起きた。

「人の部屋になに勝手に入って来てんのよ!」

「いいだろ、別に」

「何?何の用⁉︎」

「朱莉の寝顔見てた」

「あのねぇ…‼︎ほんっとそういうのやめて」

「…かわいかった」

「はぁ⁉︎」

未月はにこりと笑って、あたしのほっぺたにキスをした。
優しい優しいキス。

「わ…っ」

そして、それが唇に。

「…ちょ、ちょっと!言ったでしょ?あたし初めてのキスだったって…」

「言ったよ?だから、これからは優しくする」

「はぁ⁉︎意味わかんない」

「優しくキスする」

「勝手に決めないでよ!そういうのは好き同士がするもんでしょ」

「うるせーな!朱莉は俺のもんだから!それならいいだろ?」

それだけ言うと、未月は満足げに部屋を出て行った。
あたしには未月が悪魔に見えた。

昨日はあんな顔して反省していたくせに。
無事に学園生活が送れるかもなんてちょっと期待もしたのに。
やっぱり憧れてた学園生活は、送れそうにもない。