「あたし、あなたが嫌いです。」 あの時、立ち上がって玄関で振り返ったクミカは笑っていた。 「うん。 あたしも。」 「でも、それはヨウタを本気で好きにならなかったからかもしれないですね。 本気だったら今頃、刺してる(笑)」 「あはは。ん?ま、勘弁」 「じゃあ、さようなら」 「うん、ばいばい。」 きっと彼女は彼女で、ヨウタに本気だった。 目の下だけすこし厚く塗られた化粧の跡に腫れた瞼は其れを物語るのに充分すぎる。 そんな強がりをあたしに放つ彼女の強さを あたしは微塵も持って居ない。